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日時: 2013年10月24日(木) 13:15〜17:15
2013年10月25日(金) 9:00〜12:30
場所: 福岡交通センタービル
参加者:25名
共催:電子情報通信学会 磁気記録・情報ストレージ(MR)研究会,映像情報メディア学会 マルチメディアストレージ(MM)研究会,IEEE CE Soc. Japan Chapter
上記学会との共催により,磁気記録,ストレージシステムおよびホログラフィックメモリに関する研究会を開催した.招待講演2件を含む全8件の講演があり,うち,磁気に関する講演が5件であった.幅広い分野にわたる研究会でありながらも,丁寧な導入と最新の話題の提供があったことから,非常に活発な討論が行われた.
- ” Can We Benefit from Solid State Drives in Rich Multimedia Content Processing, Storage and Streaming?”
○Marat Zhanikeev (九工大)
ソリッドステートドライブ(SSD)を用いたマルチメディアシステムについての報告があった.大学の講義などへの応用を念頭に入れて開発が進められており,講義内容等のライブラリ化をリアルタイムかつ自動処理により進めるために必要なデータ処理・ストレージシステムの最適化について述べられた.
- 「シフト多重とペリストロフィック多重を複合した記録方式による高密度化」
○長尾雄大,吉田周平,山本 学 (東京理科大)
ホログラム多重記録再生方式として球面参照光を用いたテラビット/平方インチの記録密度を越える記録再生方式を検討した結果について報告がなされた.球面参照光における媒体に対するシフト方向による劣化を補い高密度化を推進できる記録再生方式として,シフト多重とペレストロフィック多重を複合した記録再生方式の検討結果について述べられ,実験的にも高密度化のポテンシャルが示された.
- 「自己参照型ホログラフィックメモリにおける単一記録ホログラムの読み出し特性」
○高林正則1,江藤太亮1,文仙正俊2,岡本 淳3,岡本 卓1
(1九工大,2福岡大,3北大)
参照光を用いることなく情報をホログラムとして記録再生可能な方法である自己参照型ホログラフィックメモリについての報告がなされた.自己参照型ホログラフィックメモリでは,記録条件が再生信号品質に及ぼす影響が大きく,記録時のadditionalパターンの追加による記録再生特性の改善について示された.
- 「Ni/Co垂直磁化膜の磁壁エネルギー」
○豊木研太郎,白土 優,中谷亮一 (阪大)
電子線エピタキシー法で作製した,垂直磁気異方性を有するNi(111)/Co(111)人工格子膜の磁壁エネルギーについての報告があった.MFMで観察した縞状磁区の周期は積層周期数の減少に伴って増加し,その変化からCo/Ni人工格子の磁壁エネルギーは5.3 erg/cm2と見積もられた.
- [招待講演]「磁性元素を含まないGe-Sb-Te相変化メモリからの室温巨大磁気抵抗効果の出現」
○富永淳二,ポール フォンス・コロボフ アレキサンダー (産総研)
相変化メモリの材料として開発が進められていたGe-Sb-Te三元合金系における巨大磁気抵抗効果についての概説と,最新の実験結果についての紹介があった.いずれの元素も非磁性であり、合金も非磁性であるにも関わらず,GeTeとSb2Te3の二元化合物に分けて結晶配向軸を共有する超格子薄膜を形成すると,室温で2000%以上もの磁気抵抗効果を示すことが紹介され,そのメカニズムについても議論された.
- 「磁壁による2進符号化データを用いたスピン波干渉型論理演算動作」
○浦塚泰夫,大藪周平,陳 寰屹,彭 博,大槻一紗雄,田中輝光,松山公秀(九大)
強磁性体を伝送線路として用いるスピン波ベースロジックデバイスについての報告であり,磁壁によるスピン波の位相変化をバイナリ化に利用する検討がなされた.計算機シミュレーションの結果,磁壁によるバイナリデータを用いたスピン波干渉並列論理演算動作解析を行った.並列に配置したスピン波導波路においてそれぞれ独立した論理動作ができる可能性が示された.
- 「熱影響下におけるマイクロ波アシストを利用した瓦記録に関する研究」
○柏木翔太,大塚勇人,田中輝光,松山公秀(九大)
次世代の磁気記録方式として期待されるマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)の記録特性に熱擾乱が及ぼす影響についてマイクロマグネティック計算により検討した結果が述べられた.瓦記録についても同時に検討が加えられ,トラックエッジの乱れが顕著にならない範囲においては,熱擾乱の影響は無視しうることが報告された.
- [招待講演]「完全格子整合した磁気トンネル接合の巨大トンネル磁気抵抗効果 〜 スピネルMgAl2O4系バリアの現状 〜」
○介川裕章,猪俣浩一郎,三谷誠司(物材機構)
スピネルMgAl2O4系酸化物をバリア層としてを用いた強磁性トンネル接合の実験結果についての報告があった.スピネルMgAl2O4を基本とする立方晶バリアを用いることで,従来材料のMgOでは不可能であった格子定数の調整が可能になり、強磁性電極とほぼ完全に格子整合した界面が実現できることが示された.さらに,陽イオン位置の制御により,室温で300%を超える巨大なトンネル磁気抵抗比が達成できる事が紹介された.
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