「Peltier cooling effect in full-Heusler compound Co2MnSi/Au
current perpendicular to plane nano-pillar structures」
○Subrojati Bosu、桜庭 裕弥、長谷川 浩太、高梨 弘毅(東北大学)
従来より高スピン分極材料として注目されているホイスラー合金について、巨大なPeltier効果を観察した結果が報告された。ホイスラー合金膜上に積層したAu層を100nm角以下にパターニングして垂直通電することで、バルクのSeebeck係数から予想されるPeltier係数より実に一桁以上大きな値が観察されている。特徴的な点は、吸熱を示す印可電流の方向がadiabatic spin-entropy expansionを考慮した理論予想と逆であることで、このメカニズムの解明が今後の重要課題とされた。ホイスラー合金として、Co2MnSiおよびCo2FeSiについての実験結果が報告され、ともに巨大なPeltier係数が得られている。しかし、その温度依存性は材料依存があり、今後様々な物質について体系的に調べていくという方針が示された。
「異方性磁気抵抗効果の理論的研究」
○古門 聡士1、角田 匡清2、針谷 喜久雄3、佐久間 昭正2
(1静大工、2東北大工、3産総研ナノシステム部門)
ハーフメタル性と異方性磁気抵抗効果(AMR)の極性の関係について、理論的考察の結果が報告された。多くの磁性合金は電流に対して磁化の向きが垂直のときに低抵抗となる正のAMRを示すが、ハーフメタルは必ず負のAMR(電流と磁化の向きが互いに平行で低抵抗となる)を示すことが理論的に示された。これは、従来のAMR理論が特定の系に対してのみ適用できるものであったのに対して、伝導電子の抵抗率のスピン依存を考慮すること、および全てのs-d散乱の過程を考慮に入れることで、一般の強磁性に対して適用できるように拡張した理論によるものである。この拡張されたAMR理論式に対して、別途第一原理計算により求めたスピン依存抵抗率を当てはめると、実験値と非常に良い一致を示すことが報告された。AMRは測定が容易であるため、ハーフメタルの可能性の有無を判断するツールとして有効であるとの意見が述べられた。