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日時:2012年10月18日(木)13:30-17:30
2012年10月19日(金)8:55-11:40
場所:秋田県産業技術センター高度技術研究館
共催:電子情報通信学会 磁気記録・情報ストレージ(MR)研究会、映像情報メディア学会 マルチメディアストレージ(MM)研究会、IEEE CE Soc. Japan Chapter
参加者:35名
上記学会との共催で、磁気記録・情報ストレージに関する研究会を開催した。チュートリアル招待講演1件、招待講演3件を含む11件の講演が行われ、先進的な結果に刺激を受けつつ、活発な討論が行われた。1日目の夜には、秋田市内で懇親会が行われ、互いの自己紹介を交え、研究者間のコミュニケーションを深めた。
- [チュートリアル招待講演]「SSDの現状と将来動向」
竹内 健(中大)
SSD(Solid-state drive)の現状と将来動向についての紹介があった。さらに、現状の10倍の寿命、76%エラー低減を行ったSSDについての報告があった。
- 「球面参照波を用いたホログラムメモリの記録密度に関するシミュレーションおよび実験評価」
○荒井敦志、小澤尚平、吉田周平、山本 学(東京理科大)
ホログラム多重記録再生方式として、球面参照光を用いたテラビット/平方インチを越える記録再生方式に関して報告があった。シミュレーションにより、球面参照光においては、媒体シフトの3軸方向および参照光角度のシフトにより多重記録が可能であることを明らかにし、また、実験による検証についての紹介があった。
- [招待講演]「5 Tb/in2超エネルギーアシスト記録 〜 超高密度ナノビット磁気記録技術 〜」
○宮本治一、赤城文子、向尾将樹、武井久子、牛山純子(日立)
熱アシスト磁気記録技術とパターンド媒体との組み合わせにより5 Tb/in2を越える記録密度を実現することができるとの報告があった。高精度を有する近接場素子と媒体熱構造最適化による微小な熱スポットの形成技術が高密度化の実現に対する重要な技術であることが紹介された。
- 「2.5 Tbit/in2級熱アシスト記録用ヘッドの記録磁極構造に関する検討」
○山川清志1、伊勢和幸1、赤城文子2、渡邉克郎2、五十嵐万壽和2、宮本治一2(1AIT、2日立)
記録磁極構造に関するシミュレーションについての報告。主磁極前端側に近接場光を照射して記録を行う方式においては主磁極前端にテーパ構造を設け、リーディングシールドを採用することにより、記録磁界の増強と不必要な高い磁界の抑制が可能であることが示された。
- 「シールドプレーナー型ヘッドによる高転送レート記録の検討 〜 主磁極先端形状とシールド構造 〜」
○田村英和1、金井 靖1、山川清志2、吉田和悦3、グリーブズ サイモン4、村岡裕明4(1新潟工科大、2AIT、3工学院大、4東北大)
シールドプレーナー型ヘッドのマイクロマグネティクス解析に関する報告。5 GHz以下の記録周波数の場合、主磁極先端およびシールドの構造が記録磁界強度、記録磁界勾配、ATE(adjacent track erasure)磁界に大きな影響を与えることを示した。
- 「レーザー加熱機構を有する局所磁気光学カー効果計測技術の開発」
○中村勇希1、近藤祐治2、山川清志2、有明 順2、石尾俊二1(1秋田大、2AIT)
計測用レーザ(波長632.8 nm、出力5 mW)と加熱用レーザ(波長785 nm、最大出力120 mW)を試料の同一領域に照射することにより、微小領域に形成されているドットアレイの熱磁気特性を計測する磁気光学カー効果計測技術を開発した。2つのビームの相対的なずれは、2.1 μmであった。
- 「CoFeB/MgO-磁気トンネル接合の特性改善を目指した窒化物キャップ層の作製」
○杉原 敦、大崎創一郎、中谷亮一(阪大)
CoFeB層への原子拡散が少なく、磁気トンネル接合の特性を劣化させないキャップ層の探索についての報告。電気抵抗の低く、熱安定性の優れた材料に関して検討を行い、TiNがTaよりも適した材料であることを見いだした。
- [招待講演]「自己組織化ポリマーを用いた5 Tdot/inch2ビットパターンドメディアの作製」
○鎌田芳幸、前田知幸、稗田泰之、山本亮介、木原尚子、喜々津 哲(東芝)
自己組織化リソグラフィ技術に関する報告。12 nmピッチの自己組織化ポリマーで形成したマスクでエッチングすることにより、5 Tb/in2密度のFePtからなるビットパターンドメディアを作製した。保磁力は6 kOe、ドット反転磁界分散は21%であり、これらの特性劣化はエッチングダメージによるものとの説明があった。
- 「フラット・パターニング法を用いて作製したL10 FePtRh強磁性‐反強磁性パターンにおける原子拡散幅の評価」
○長谷川 崇、石尾俊二(秋田大)
FePtドット(厚さ1 nm)アレイ上に厚さ3 nmのFePt0.60Rh0.40を形成し、熱処理を行うと、反強磁性マトリクス中に強磁性ドットアレイが配列したほぼフラットな構造を得ることができる。ドット近傍の原子の拡散幅は、5 nm程度であることを明らかにした。
- 「周波数変調型磁気力顕微鏡を用いた磁気記録ヘッドの交流磁場観察 〜 円錐形状FePt系高保磁力探針による像歪みの抑制 〜」
○吉村 哲、安居慎也、江川元太、木下幸則、齊藤 準(秋田大)
周波数変調型磁気力顕微鏡に新規な円錐形状FePt-MgO探針を適用することにより、磁場像の歪みおよび検出信号出力の低下を抑制し、鮮明な像を得ることができたとの報告。
- [招待講演]「放射光を用いた鉄隕石の界面磁性解析とその応用研究」
○小嗣真人1、三俣千春2(1SPring-8/JASRI、2物材機構)
鉄隕石の磁区構造を光電子顕微鏡を用いて観察したところ、α相とγ相との境界において、互いに正対する磁区構造が発見された。人工のFeNiでは見られない構造であり、マイクロマグネティクスシミュレーションによる解析の結果、境界に偏析したL10型FeNi規則合金に起因することを明らかにした。
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