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日 時:2011年12月2日(金)13:30〜16:45
場 所:中央大学 駿河台記念館
参加者:30名
今回の研究会では,電流や磁界に対するスピンの動的応答に関連した研究をテーマとした.前半は,電流誘起のスピン波ダイナミクスと,微小強磁性多角形を用いた磁気渦制御に関連した講演,後半は,垂直磁化ドットの磁化反転ダイナミクスの解析と,FePt薄膜の電界およびスピン波による磁化制御に関する講演があった.基礎的な材料物性から最新の成果まで大変興味深い内容が報告され,活発な議論がなされた.講演概要は以下の通りである.
- 「電流によって誘起されるスピン波ダイナミクス」
○関口康爾1,能崎幸雄1,小野輝男2 (1慶大,2京大)
電流によって誘起されるスピン波ドップラー効果の,実時間測定結果が示された.実時間波形解析により,スピン波媒質となる強磁性体のスピン分極率,および非断熱トルク効果の寄与が評価できることが示された.パーマロイのスピン分極率は,周波数領域のドップラー測定結果と一致し,非断熱トルク効果がダンピング定数の2〜3倍と推定された.
- 「微小強磁性多角形における磁気渦の静的および動的特性」
○家形 諭1,2,宮田真彦1,鬼石宏平1,木村 崇1,2 (1九大,2JST-CREST)
パーマロイ多角形磁気渦素子を作製し,その静的および動的特性を調査した.多角形素子のカイラリティを磁界や電流を用いて容易に制御できることを示した.またホモダイン検波法を用いて観測した磁気渦コアの共鳴スペクトルがカイラリティに依存することから,磁気渦コアの駆動力として電流誘起磁界が大きく寄与することを示した.また二等辺三角形素子を作製し,磁界による複数磁気渦の生成制御および共鳴現象の観測に成功した.
- 「Co/Pt垂直磁化ドットの磁化反転挙動」
○菊池伸明,岡本 聡,北上 修,村上恭和,進藤大輔 (東北大)
面内方向のナノ秒大振幅パルス磁界を用いて,直径120 nm のCo/Pt多層膜ドットの磁化反転実験を行った結果を報告した.パルス磁界の立ち上がり時間を70 ps〜4 nsの範囲で変化させた結果,立ち上がり時間が70 psのときにのみ,反転磁界の著しい低下が観測された.この結果は,断熱的なトルクが発生したことによる磁化の動的な効果が表れたものと解釈できる.
- 「高保磁力FePt薄膜における磁化制御」
○関 剛斎,高梨弘毅 (東北大)
L10型FePt規則合金の磁化方向制御手法として,電界印加および交換結合膜のスピン波を利用した保磁力制御の検討をおこなった.FePt/MgO/Al-Oからなる固体素子構造に電圧を印加したところ,およそ45 Oeの保磁力の変調が観測された.さらに,FePt層とパーマロイ層を交換結合させた薄膜では,スピン波を励起することにより,FePt層の保磁力の大幅な低減に成功した.
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