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第30回ナノマグネティクス専門研究会 報告
日 時:2009年6月26日(金)13:30〜16:45
場 所:化学会館
参加者:25名

 今回の専門研究会は,磁気記録技術、ヘッド技術、将来ヘッド技術、ヘッド技術応用の各分野からの講演をお願いした。ナノ磁性体、スピンやスピントルクといったキーワードは、まさに当専門研究会にふさわしいものであり、本分野の専門家が集まり,活発で,新鮮な討論がなされた。
  1. 「磁気クラスタサイズ分布と記録再生特性」
    ○ 橋本光弘,中川宏之,中本一広,井手浩,市原貴幸(日立)

     連続型垂直記録媒体による更なる高記録密度の達成には,媒体の磁気クラスタサイズやその分散の低減が必須である。本研究では,ノイズスペクトラムから自己相関関数を算出してクラスタサイズ分布を定量化する手法を開発した。また,クラスタサイズ分布と記録再生特性との関係を明らかにするため,同手法を用いて様々な垂直記録媒体の評価を行った。その結果,両者の関係は重回帰分析法で求めた回帰式により定量的に説明できる事を明らかにした。この重回帰分析法によるアプローチは各媒体の課題の本質を捉えた上で効率的に性能を高める指針を提示できるため,媒体開発を加速する評価手法となりうる。

  2. 「ハーフメタルホイスラー合金の材料開発とCPP-GMRへの応用」
    ○ 古林孝夫1、小玉恒太2、中谷友也2、B. Varaprasad2, A. Rajanikanth1, S.V. Karthik1,高橋有紀子1、介川裕章1、猪俣浩一郎1、宝野和博1,21物質・材料研究機構、2筑波大)

     ハーフメタルと考えられるホイスラー合金の材料探索、及びホイスラー合金を用いたCPP-GMRについて報告した。Co基ホイスラー合金について点接触アンドレーフ反射法によってスピン分極率の測定を行いハーフメタルの探索をおこなった.いくつかの3元ホイスラー合金について,第4元素の添加によってスピン分極率が上昇することが示された.また,トンネル接合において高いMR比が得られているホイスラー合金、Co2FeAl0.5Si0.5 (CFAS)及びCo2MnSi(CMS)を強磁性電極としてAgをスペーサ層に用いたCPP-GMR素子を作製し、良好なエピタキシャル成長を確認するとともに大きなMR比を得た。特性向上のために合金の規則度の向上が重要である。

  3. 「CoFeAlSiをリファレンス層に用いたCPP-GMR素子でのマイクロ波発振」 ○ 増子潤1、松原正人1*、橋本淳一1*、金井均1、上原裕二1、宮島豊生2、指宿隆弘2*、佐藤雅重2*、鈴木義茂3 (1富士通、2富士通研、3阪大、現日立)
     マイクロ波アシスト磁気記録の実現性を検討するため、CPP-GMR素子に対して膜面から垂直な方向に磁界を印加した場合でのマイクロ波発振の振る舞いを観察した。高いスピン偏極率を有することが期待される、CoFeAlSiをリファレンス層に用いた素子のパワースペクトル密度を測定した結果、8 GHzまでの周波数領域ではパワースペクトル密度が磁場強度と電流方向に強く依存し、素子抵抗の挙動と対応していることを確認した。また、フリー層からリファレンス層に電流を流した場合に12〜14 GHzの周波数範囲でマイクロ波の発振を確認した。この電流・磁界条件においても動的な磁化状態が存在することを示唆された。

  4. 「ナノ狭窄構造スピンバルブ薄膜素子のスピン依存伝導とスピンダイナミクス」 ―ナノ接点磁壁型磁気抵抗素子とスピントルクオシレータを中心に―
    ○ 佐橋政司1、土井正晶1、三宅耕作1、今村裕志1,2、福家ひろみ3、高岸雅幸3、岩崎仁志3(1東北大、2産総研、3東芝)

     酸化物層の一部に磁性ナノコンタクトを有するスペースを用いた垂直通電型スピンバルブMR素子におけるGHz帯の発振特性を報告した。〜300nmの比較的な大きな素子サイズでも、ナノコンタクト部の電流密度は高いので、〜6 GHzでQ~6000のシャープな発振ピークが認められた。このピークは外部磁界や電流に対して特異な挙動を示し、ナノコンタクト部における磁壁が関与した発振と推定される。

文責: 鴻井克彦(東芝)、五十嵐万壽和 (日立)