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第27回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2008年12月12日(金)13:30-16:30
場 所:日本大学理工学部駿河台校舎
参加者:31名
共 催:電気学会・熱と磁気によるナノ領域スピン制御ストレージ技術調査専門委員会
今回は,半導体やグラフェンへのスピン偏極電流の注入に関する実験と理論計算,磁性金属におけるスピン分極率の第一原理計算,NOL (Nano-Oxide-Layer)層を含む磁性層の交換結合などスピントロニクスに関する4つの話題を取り上げた。理論計算の条件や解釈,実験条件と結果の解析などについて,活発な討論が行なわれた。研究会後には,会場の近くで忘年会を行ない,さらに議論と懇親を深めた。
「CoFeB/MgO電極を介したGaAsチャネルへのスピン偏極電流の注入及び検出」
○ 井口智明,丸亀孝生,石川瑞恵,杉山英行,斉藤好昭(東芝)
GaAs上に形成されたMgO/CoFeB電極を有するプレーナー構造の素子において,GaAsへのスピン偏極電子の注入および検出を電気伝導により測定した結果が紹介された。まず,GaAs/MgO/CoFeBの構造を利用する利点が示された後に,非局所法によるスピン依存伝導の観測結果とCoFeBの磁化方向との対応について報告がなされた。
「遷移金属合金の電気伝導度とスピン分極率の第一原理計算」
○ 佐久間昭正,小田洋平,土浦宏紀 (東北大)
スピントロニクス分野での応用が期待されるFe-NiやFe-Co合金およびホイスラー合金の電気伝導度を久保公式のもとで第一原理計算から評価し,電気抵抗率とスピン分極率の組成依存性について解析したデータが示された。得られた電気抵抗率は低温での実験結果をよく再現することが確認された。スピン分極率Pは状態密度から期待される値と著しく異なり,何れも80%を超える値となることが報告された。また,講演では,Pの支配因子について散乱機構をもとに議論がなされた。
「Co
1-x
Fe/Cr-NOL上に形成されたCoFe/Cu/CoFe三層膜における層間結合」
○ 澤田和也,土井正晶,佐橋政司 (東北大)
さらなるMR比の増加へ向け,Nano-Oxide-Layer (NOL)を含んだスピンバルブ(SV)について様々な研究がなされている。NOLの挿入はSV内の交換バイアスや層間結合などの磁気結合に影響を及ぼすことが考えられる。ここでは,フルメタルのSVとNOLを含むSVについて,層間結合磁界
H
inの温度依存性の測定および理論式によるフィッティングを行った結果が報告された。また,その解析結果より,NOLの挿入によって非磁性層のフェルミ速度が変化している可能性があることが示唆された。
「強磁性/グラフェン/強磁性接合における磁気抵抗効果」
山村彰紀1,○ 本多周太1,井上順一郎1,伊藤博介2(1名大,2関西大)
強磁性体にFe,s軌道単純立方格子を用いた強磁性/グラフェン/強磁性接合におけるコンダクタンスと磁気抵抗比を数値計算により調べた結果が報告された。モデルにはTight-Bindingモデルを用い,線形応答理論に基づく久保公式により,各スピンのコンダクタンスが計算された。グラフェンがジグザグ終端でFeと接合する場合において,接合の違いにより磁気抵抗比がどのように変化するかが議論された。さらに,有限グラフェンのエッジにおける状態密度からコンダクタンスが議論された。
(粟野 博之(日立マクセル),岩田 聡(名大))