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第23回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2008年2月15日(金)13:30-16:45
場 所:化学会館6階601B会議室
参加者:20名

 今回の研究会では、今後の高密度磁気記録において重要な高磁気異方性垂直磁化膜、およびスピントロニクスデバイスと磁気記録の両分野に共通基盤として注目を集めている垂直磁化TMJ,TMRの磁気ノイズ,スピン侵入長に関して計4件の講演があった。いずれの講演も今後の研究分野の広がりが期待される分野であり,活発なディスカションが行われた。
  1. 「スパッタ法による高磁気異方性L11-CoPt垂直磁化膜の作製とその特性」
    島津武仁1,佐藤英夫1,岡本 聡2,北上 修2,村岡裕明1,青井 基1( 1東北大 通研   2東北大 多元研)

     東北大学の島津氏のグループから,スパッタ法により,360℃程度の基板温度でL11型のCoPt規則化合金垂直膜の形成に成功し,その一軸磁気異方性は現状で最大3.7×107 erg/cm3に達していることが報告された。

  2. 「RE-TM合金垂直磁化膜とFe/MgO/Fe構造を用いた垂直磁化MTJの試作」
    中川茂樹、羽鳥友哉、大森秀人 (東工大)

     RE-TM合金系垂直磁化膜上に形成した2〜3nmの(100)配向Fe層が垂直磁化することをMFMや異常Hall効果を用いて検証した。このFe層上にはMgO(100)配向膜が室温でエピタキシャル成長し,これらで構成した垂直磁化MTJにおいてMR比64%を観測した。

  3. 「TMR素子における磁気ノイズ特性」
    水口将輝1*、山根健量1、野崎隆行1、白石誠司1、新庄輝也1、鈴木義茂1、福島章雄2、久保田均2、湯浅新治2、増子潤3、松原正人3、秋元秀行3、上原裕二3( 1阪大、2産総研、3富士通、*現東北大金研)

     TMR素子における磁化の熱揺動に起因した磁気ノイズの測定を行った。素子に注入される直流電流の大きさに依存して、ノイズ強度がどの様に変化するのかを調べ、スピントランスファートルクがスピン系に及ぼす影響を明らかにした。

  4. 「強磁性金属中におけるスピン侵入長」
    家形 諭1, 大兼 幹彦1, 安藤康夫1, 谷口知大2,3, 今村裕志3(1東北大学、2東北大学金研、3産総研)

     強磁性共鳴およびそれに伴うスピンポンプ効果を用いて強磁性金属中のスピン侵入長を調べた。その結果Co, CoFe, Py およびCoFeBにおけるスピン侵入長についてそれぞれ1.7nm, 2.5nm, 3.7nm および12.0nm を得た。

(島津武仁(東北大学) 田中 厚志(富士通研))