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第22回ナノマグネティックス専門研究会 報告
日 時:2007年11月30日(金)13:30-17:00
場 所:中央大学駿河台記念館560号室
参加者:11名
今回は,多数の光ディスクを集積したテラバイト光記録,Au(001)上に成長させたbcc Coの構造,スピン注入磁化反転の動的観察,最近注目度が高まっているマルチフェロイック薄膜の強誘電性と磁性に関する4つの幅広い話題を取り上げた。一部を除き,基礎的な研究の紹介であったが,たいへん興味深い内容で,時間を超過して活発なディスカッションが行われた。
「テラバイト光ディスクSVODの提案」
粟野博之(日立マクセル(株)技術統括本部)
昨今の法令順守等によるデータの長期保存義務強化の背景によりデータのアーカイブニーズが高まっており,HDDが丸ごとコピーできるランダムアクセス可能な光ディスクの出現が望まれている。この講演では,テラバイト光ディスクを実現するため,カートリッジに極薄光ディスクを48枚収納したテラバイトカートリッジを開発した結果が報告された。極薄(0.1mm)でも厚板製品と同じ記録再生性能,マージン,寿命が確保でき,特殊スタビライザと極薄ディスクを重ねて市販ドライブにセットするだけで市販光ディスク同様に記録再生できることが示された。また,パソコンに汎用光ライブラリソフトをインストールすればUSB1本接続するだけで1枚のテラバイト光ディスクとして利用できること,外付けHDDのようにドラッグ&ドロップで簡単に1TBの巨大ファイルを丸ごとコピーできるし,1000時間以上のハイビジョン連続録画も可能であることが示された。
「STM/XMCD測定によるAu(001)上bcc Co薄膜の磁性研究」
川越 毅,宮町俊生*,今田 真*,C.T. Chen**,菅 滋正* 大阪教育大,*阪大基礎工,**台湾NSRRC
Au(001)上bcc Co薄膜(3.4ML以下)の表面構造と磁性をSTM/XMCDによって詳細に調べた結果が報告された。STM観察の結果より,室温成長の場合にはbcc構造を示すが,熱処理後は最表面がAuで覆われたbcc CoナノアイランドとなることをSTM/STSの詳細な解析結果から明らかにされた。またXMCD測定の結果からbcc Coナノアイランドにおいて,軌道磁気モーメントが増強されることが示された。
「微小強磁性トンネル接合におけるナノ秒領域のスピン注入磁化反転」
青木達也,渡邉大輔,大兼幹彦,安藤康夫,宮崎照宣*(東北大学工学研究科,*東北大学原子分子材料科学高等研究機構)
CoFeB/MgO/CoFeB系の微小強磁性トンネル接合について,ナノ秒領域でのスピン注入磁化反転特性を議論した。静および動的な測定から,反転時間と反転電流はSunのモデルと一致することが示された。更に,初期角度の制御により,反転電流(密度)が低減されることが示された。
「Bi系マルチフェロイック薄膜の強誘電性および磁性 ーME効果の発現に向けてー」
永沼博,岡村総一郎,*神島謙二,*柿崎浩一,*平塚信之, **Andras Kovacs,**平田秋彦,**弘津禎彦(東京理科大学,*埼玉大学,**阪大産研)
マルチフェロイックBiFeO3薄膜の課題である(1)高い抗電界,(2)高いリーク電流密度,(3)弱い磁化は,3d遷移金属(Ti,Cr,Mn,Co,Ni)の中でもCoを微量置換(Feサイト)したときに最も効果的に改善できることが明らかにされた。(1)抗電界の低下は,構造が菱面体晶から疑立法晶(正方晶)へ遷移し,分極軸が単純化されたためであり,(2)はCoが2価としてFeサイトを置換し,酸素欠陥により生じた電荷を補償したためであり,(3)はCoがFeサイトを置換したため局所的に反強磁性構造が崩れたことが原因であると考察がなされた。
(粟野 博之(日立マクセル),岩田 聡(名大))