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第9回ナノバイオ磁気工学専門研究会報告
日 時:2004年11月30日(火)13:30〜15:50
場 所:東京工業大学大岡山キャンパス
参加者:33名

講演内容:
  1. 「超伝導磁気分離技術と磁性微粒子を用いた環境汚染物質の除去」
    小原健司(金沢工大)

      高温超伝導磁石と磁性微粒子を用いたシステムで、地熱発電所地熱水のヒ素浄化に成功した。これは5m/分の高速通水速度で、3ppm以上のヒ素濃度を環境省排出基準の0.1ppm以下に低減でき、二次廃棄物を生じない、省エネルギー、いかなる場所へも設置可能という特長を持つ。

  2. 「磁性ビーズを用いた細胞の回転分子モーターに関する研究」
    野地博行(東大)

      F1モーターは、化学反応エネルギーを利用して回転する直径・高さともに10nmの生体分子モーターである。磁気ビーズと外部磁場を用いて、このモーター分子を1分子単位で操作する研究報告がなされた。初めの話題は、強制逆回転に伴う逆化学反応の検出であり、二つ目の話題は、不活性状態のF1モーターの力学的活性化であった。

今回の研究会では、磁性微粒子の環境汚染物質除去への応用と、磁性ビーズを用いた細胞の回転分子モーターの研究に関する講演が行われた。最初の講演は、磁性微粒子と超伝導磁石を用いた磁気分離技術を、地熱水に含まれているヒ素のような環境汚染物質除去への応用の紹介であった。二番目の講演は、生体内でタンパク質合成・分解に機能している回転分子モーターに関する研究であった。この講演では、磁性ビーズを同モーターに付着させ、外部磁場により同モーターを制御し、また、1分子を入れる1fL容積の実験チャンバーなど、ユニークな実験系の紹介がなされた。両講演とも、磁性微粒子の更なる応用例を示し、エキサイティングであった。
(東工大 阿部正紀、理研 野田紘憙)