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第78回マイクロ磁区専門研究会
日 時:2002年4月19日(金) 13:30〜17:30
場 所:森永プラザビル23階A会議室
参加者:32名

講演テーマ:

1. 「磁気記録媒体における熱揺らぎ反転単位と粒子間交換相互作用の関係」
五十嵐万壽和(日立)
2. 「FePtナノパーティクルの合成とその特性」
児玉宏喜,井原宣孝,百瀬悟,前田麻貴,渦巻拓也(富士通研)
3. 「極薄パーマロイ薄膜の誘導磁気異方性と原子対再配列」
片田裕之,島津武仁,中村慶久,村岡裕明,杉田愃(東北大)
4. 「スピン注入現象の面白さ」
小野輝男(阪大)
 五十嵐氏より,面内磁気記録媒体の磁化反転様態と粒子間交換相互作用との関係に関する系統的な計算機シミュレーション結果が報告された。モンテカルロ法において周波数因子の角度依存性を考慮することにより,Langevin方程式に基づく数値計算結果との一致が良くなることが述べられた。交換結合定数Jが1erg/cm2以上になると,反転単位が1個以上となる,1.08erg/cm2以上になると,反転単位が著しく増大することが示された。
 児玉氏より,スピンコート法により作製されたFePtナノパーティクル分散膜の構造,磁気特性,記録動作実験結果等について報告があった。スピン塗布後,550℃の熱処理により直径D=3.8 nm,分散σ/D=8%,表面ラフネスra=0.85nm,保磁力6.4kOeの膜が作製されている。スピン塗布後に,不純物としてγFe2O3が生じるが精製プロセスの改善により除去可能との由。磁気異方性の制御による,オーバーライトの実現が課題とのことであった。
 片田氏より,パーマロイ超薄膜における誘導磁気異方性の膜厚依存性,熱処理効果等について詳細な報告がなされた。異方性磁界Hkは膜厚tの減少に伴い小さくなり,t=3nmではt=30nmに比べ1/2以下となる。薄膜磁歪の極性を変えた試料に於いても,同様の傾向がみられることから,膜応力による磁歪効果では,この現象が説明できず,表面数原子層における方向性規則配列の抑制効果の可能性が示された。
 小野氏より,スピン偏極電子の注入による極微磁性体の磁化反転や,非磁性金属へのスピン偏極電子の注入に関するレビューが行われた。前者に関しては,Slonczewski理論についての分り易い説明や,それにより予測される磁化反転電流が最近の実験結果とよく一致すること等が示された。後者については,プレーナ型デバイス構造を用いたスピン拡散長の評価実験結果について解説がなされた。また,最近,研究に着手されているLSMO系材料におけるスピン偏極電子伝導に関する実験の紹介があった。

(九大 松山公秀、NEC 松寺久雄)シリコンシステム研究所 松寺久雄)