日時:9月10日(金) 13時30分〜17時00分
場所:日本電信電話(株) 武蔵野研究開発センタ
参加者:37名
プログラム:
- "記録再生シミュレーションによるキーパー媒体の最適化" 鷹栖幸子、松尾東、藤原直哉、飯田慎也、品川公成(東邦大学)
- "GMR再生可能な光磁気記録媒体" 根本広明、嵯峨秀樹(日立 中央研究所)
- "強磁性ナノ粒子を介した二重トンネル接合" 斉藤好昭,中島健太郎,猪俣浩一郎(東芝・研究開発センター)
- "高純度CoNiFe磁極ヘッド" 大橋啓之,石綿延行,斎藤美紀子,石勉,本庄弘明(NEC 機能デバイス研究所)
今回は,磁気記録とこれに関連する最近のトピックスを取り上げたが,やや暑い中,37名が集まり,時間を超過して熱心な討論が行われた。さらに研究会終了後の懇親会までいろいろ話題が尽きず,楽しくかつ有意義な研究会となった。
まず,東邦大学の鷹栖氏は,記録層の上にソフト磁性のキーパー層を設けた場合の記録再生特性をシミュレーションした結果について報告した。キーパー層を設けることにより,記録特性の向上が認められたが,媒体とヘッド間の距離の増大による再生信号の低下も見られた。GMRヘッドを用いた場合など今後の展開が期待される。
日立の根本氏は,光磁気記録方式で記録した信号をGMRヘッドで再生する方式について検討した結果を報告した。媒体からの漏洩磁界をより大きくするための磁化の大きな読み出し層と保磁力の大きな記録層を2層化した媒体を用いて光ヘッドとGMRヘッドで再生した場合を比較し,GMRヘッドを用いたほうが良好な再生信号が得られることを示した。
東芝の斉藤氏はCoPt強磁性粒子をAl2O3絶縁膜でサンドイッチした構造を持つ二重トンネル接合のトンネル磁気抵抗効果について報告され,最大約20%の磁気抵抗変化率が得られることを示した.このような構造では,作製条件により素子抵抗のコントロールが可能であり,今後スピンとチャージを制御したデバイスとして,MRAMへの応用などが期待される.
NECの大橋氏は,約2.1Tと高い飽和磁束密度を持つ高純度CoNiFeを用いた記録ヘッドについて報告した.このような高飽和磁束密度材料をめっき法で得るために,広い組成について成膜を行い,fccとbccの境界領域で保磁力が低くなること,膜中に含まれるSなどの不純物を排除することによりこのような膜を得たことを示した.また,この材料を用いたヘッドを試作し,保磁力7kOeの媒体を用い,オーバーライト20〜30dBが可能であることを示した.今後,高密度化に伴う高保磁力媒体への記録ヘッドとして期待される.
(NTT 黒川義昭,名大 岩田聡)
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