日時:7月2日(金)13時30分〜18時10分
場所:(株)日立製作所 本社ビル1F会議室(JRお茶の水駅 東京寄り改札口 徒歩2分)
75名の熱心な参加者が集う会場は,日立本社ビルの中でも異常な熱気に包まれていた。毎回,白熱した議論が展開される本研究会であるが,今回は特にエキサイティングな盛り上がりを見せた。当初3時間のプログラムが、1時間以上超過しても終わる気配がない。会場の都合がなければいつまで続いてか分らない状態であった。懇親会は更に盛り上がったようである。
プログラム:- "20Gb/in2記録用ハードディスク媒体技術" (富士通(株)ファイル研究部 佐藤 賢治)
先のINTERMAG99(韓国)で話題となった「20Gb/in2ハードディスク」のデモンストレーションについて、CoCrPtX低ノイズ媒体技術を中心に紹介。最後までXは明らかにはならなかったが,媒体の熱的安定性や保磁力配向などの重要課題についての鋭い質問が矢継ぎ早に飛び出した。
- "シミュレーションによる高周波記録の検討" (日立製作所 中央研究所 五十嵐 万壽和)
LLG方程式に基づくR/Wシミュレータを用いた検討した結果から、高周波記録時の課題を紹介。高周波領域では残留保磁力がパルス波形に依存性することを示し、アラバマ大Doyle氏等の実験の不備を指摘。1GHzまで,ダイナミック効果による磁化反転の遅れ影響はほとんどない。
- "光アシスト磁気記録再生"(シャープ(株)基盤技術研究所 片山 博之)
保磁力が大きく熱減磁問題解決策の一つとして期待の大きいMO媒体にレーザー光アシスト垂直磁気記録を行った結果が報告された。記録/再生領域がレーザー光スポット径に限定されるため、トラック幅の広いハードディスク用ヘッドを用いても高トラック密度化が達成できる。記録磁区形状は光熱磁気記録にもかかわらず磁気記録パターンのように曲率のない状態であった。今後の発展が期待される。
- " GHz帯インダクタの計測法 "(東北大通研 山口 正洋)
携帯端末向けの磁性体内臓GHz帯インダクタの設計とその計測法についての紹介。 GHz帯デバイスを取り扱う上での注意点、苦労話などなど。ハードディスクのGHz帯動作時代が数年後に迫っており、従来設計思想の延長上では伝送路等に限界があることを痛感させられた。
(当幹事:粟野博之(日立マクセル) 、五十嵐万壽和(日立中研))
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