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日時:平成10年10月23日(金)13:30 〜 17:00
場所:後楽園会館 第5会議室
参加者:48名
プログラム:- 超高真空成膜によるPdPtMnスピンバルブ膜の特性向上 田中厚志、清水豊(富士通研究所))
- 磁気ヘッド・媒体系の統一的な磁界計算方法 鈴木良夫(日立 中央研究所)
- Activation Volume in Magnetic Recording Media Takao Suzuki (Toyota Technological Institute)
- Physical Boundaries of Magnetic Recording Robert L. White (Stanford University) (IEEE Distinguished Lecturer)
今回のマイクロ磁区専門研究会は、豊田工業大学・情報記録材料研究コンソーシアムと共同で開催され、IEEE Distinguished Lecturer である Robert L. White教授(スタンフォード大学) の来日に伴う特別講演が行われた。以下に概要を報告する。
富士通研究所の田中氏からは、PdPtMnスピンバルブ膜について、1×10-7Pa以下の超高真空で成膜することにより結晶配向性が向上し、全膜厚27nm (PdPtMn厚15nm)で充分なHuaと大きなシート抵抗変化1.6Ωが得られ、超高真空成膜が今後のスピンバルブヘッドの高出力化、狭ギャップ化に有望であることが示された。
日立中央研究所の鈴木氏からはフーリエ変換を利用し磁界の伝播、界面での透過と反射という概念で3次元磁界を計算する解析手法が報告された。本方式はプログラムがコンパクトで高速計算が可能、精度も高いという特徴を持ち、ヘッド・媒体を含む種々の系に対して適用可能であることが示された。
豊田工業大学の鈴木氏からは、媒体の熱ゆらぎと遷移ノイズの議論に不可欠な Activation Volumeについて報告があった。 Activation Volume は今までに各種の方法で見積もられているが、その値は実際に磁気的影響を受けている体積より小さく、媒体ノイズの予想には使えるが、熱ゆらぎ問題に対しては過剰に見積もり過ぎているとの見解が示された。
スタンフォード大学の White氏からは、将来の高密度化、高速化の限界を決める2大要因は、媒体の熱安定性とヘッド磁界のスイッチング速度であること、前者に関する対策技術は、異方性の増大、Keepered Media、垂直記録であり、〜30Gbit/in2までは現状の水平記録の改良で実現でき、単結晶の Patterned Mediaを使えば1Tbit/in2も可能であること、後者については、磁極の渦電流だけではなく磁化スイッチング時の材料の本質的なダンピング過程も考える必要とがあるとの報告がなされた。
いずれの報告も、本研究会の特徴であるインフォーマルな雰囲気で活発な質疑応答が行われた。また研究会終了後に同会館で行われた懇親会にも多数の参加者が有り、引き続き活発に情報交換が行われた事を付記しておく。
(富士通 戸田順三)
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