日時:平成7年10月20日
場所:日立製作所中央研究所
連絡先:73名
今回の研究会では,先の第19回学術講演会で報告のあったマイクロ磁区関連のテーマを中心に下記の4件の講演が行なわれた.
講演題目:
- 近接陽光学顕微鏡を用いた光磁気及び相変化記録の検討 新谷俊通,保坂純男,井村 亮(日立基礎研究所)
- ECRスパッタ法により形成したCocr膜の組成分離構造 広野 滋(NTT境界領域研究所)
- スピンバルプメモリー 榊間 博, 入江庸介,川分康博(松下電器中央研究所)
- Ni0にo0を用いたスピンバルプ膜とヘッド設計 中田正文(NEC機能エレクトロニクス研究所)
日立の新谷氏からは,走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)を用いた光磁気および相変化記録膜への書込みに関する報告があった.両記録膜ともに最小で直径約80nmの微小ビットの記録が報告された.また,記録メカニズムとしては,ェパネッセント光による直接的な書込みではなくSNOMチップ先端の発熱による効果が支配的である可能性が示された.
NTTの広野氏からは,プラズマ制御性にぼれる電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法を用いて形成したCocr系垂直磁気記録媒体の微細構造に関する報告があった.イオンァシスト量を低い値に制御し,磁性膜厚を小さくすることにより,結晶粒径が小さく,粒内の組成分離構造も微細な媒体が得られ,ノイズが低減されることが示された.
松下電器の榊間氏からは, スピンバルブメモリーに関する報告があった.単結晶Si基板上に形成したスピンバルプ膜を用いることにより,動作磁界が小さくてスイッチングが急峻なメモリェレメントが作製できることが示された.また.高密度・高集積化への課題が提示され,活発な議論が行なわれた.
NECの中田氏からは,酸化物反強磁性体を用いたスピンバルプ膜とシミュレーションによるヘッド設計の報告があった.反強磁性膜としてのNi0/Co0のニ層膜を用いることによりMR曲線のヒステリシス特性が改善され,大きな磁気抵抗変化率を有するスピンバルプ素子が作製できることが示された.
(日立中研:細江 議)
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