21.01
- 分野:
- スピンエレクトロニクス
- 出典:
- 東芝およびNECのプレスリリース
- タイトル:
- 東芝とNEC、16メガビットMRAMを開発
- 概要:
- 東芝とNECは、世界最高速の1秒当たり200メガバイトの読み書き速度と、世界最大容量の16メガビットを両立し、さらに1.8Vの低電圧動作を実現したMRAMを共同で開発した。
- 本文:
- 東芝とNECは、世界最高速の1秒当たり200メガバイトの読み書き速度と、世界最大容量の16メガビットを両立し、さらに1.8Vの低電圧動作を実現したMRAMを共同で開発した。この成果については国際固体素子回路学会(ISSCC2006)において2月6日(現地時間)に発表された。
(http://www.toshiba.co.jp/about/press/2006_02/pr_j0702.htm)
(http://www.nec.co.jp/press/ja/0602/0702.html)従来のMRAMでは、書き込み用の磁場を起こす電流駆動回路が、周辺のセルの読み出し動作に電気的な悪影響を及ぼし、高速化しにくい課題があった。今回開発したMRAMは、読み出しと書き込みの経路を分離できる配線構成に改良して高速化を実現すると同時に、この配線構成を生かし、書き込み電流を部分的に分岐させて配線の電気抵抗を約38%低減した。これにより、データ転送速度が1秒当たり200メガバイト、動作速度が34ナノ秒と、いずれも16メガビットMRAMとして世界最高速処理に加え、携帯機器での使用に適した1.8Vの低電圧動作を実現した。
16メガビットMRAMに関しては2006年5月に開催されるINTERMAG2006でも発表が予定されている。(発表番号EB-05)
またNECと東芝の共同開発において、4メガビットMRAMを用いてドライビング画像レコーダのシステムデモ実験も既に行っている。
(http://www.nec.co.jp/press/ja/0512/0705.html)
近年、ドライビング画像レコーダは、事故の原因究明や事故処理の迅速化などの目的で商用車を中心として搭載が進んでいる。さらに走行情報を解析することで「ヒヤリ、ハット」状態の分析を行い、予防安全システムの開発に大きく貢献すると期待されている。
MRAMを用いることで、画像データの常時上書きが高速で可能となり、事故により電源系統が壊れる場合でも記録されたデータを保持することができる。またMRAMは高温でのデータ保持機能が高いので、比較的高温になる自動車室内の環境にも適している。
このような成果により、磁性体を用いた半導体デバイスへの期待も更に高まっていくものと思われる。
(NEC 末光 克巳)
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