59.02

分野:
ナノ構造
タイトル:
NIMSが絶縁体セラミックスの3次元アトムプローブに成功
出典:
6月15日発表独立行政法人物質・材料研究機構磁性材料センター最新情報
http://www.nims.go.jp/apfim/WhatsNew_j.html
概要:
 従来アトムプローブが適用不可能とされていた絶縁材料であるセラミクス材料のアトムプローブ分析に物質・材料研究機構の磁性材料センター(センター長宝野和博フェロー)が世界で初めて成功した。試料はジルコニア・スピネルナノコンポジットセラミクスで、磁性セラミックスの3次元原子トモグラフィー像の取得など、今後の適用展開が期待される。
本文:
 
これまでアトムプローブ法が適用不可能と思われてきたセラミックスに対して、物質・材料研究機構の磁性材料センター(センター長宝野和博フェロー)は原子のイオン化のために紫外光の短波長レーザーを用いたレーザー補助3次元アトムプローブ装置を用いて、イットリア安定化立方晶ジルコニアセラミクスにスピネルを分散させたジルコニア・スピネルナノコンポジットセラミクスの3次元アトムプローブ解析に世界で初めて成功した。電気伝導性のないセラミクスナノコンポジット材料からFIB加工により切り出した針状試料先端に紫外光のフェムト秒レーザーを照射させることにより、Al、MgとY、Zr、O各原子のマップと、領域A、領域Bから作成された組成プロファイルを作成した。ZrO2/ZrO2粒界へのAl、Y偏析が確認され、酸素を含めた定量解析にも成功した。

セラミクス材料は磁性材料としても非常に多くの物質が知られており、種々のコンポジット材料も開発されている。今回、セラミックス材料に対してもアトムプローブによる原子の3次元トモグラフィー像を得る道が開かれたことにより、さらに深い材料の理解が進むと期待される。  

(日立金属 広沢 哲)

ナノ構造

前の記事

60.03
ナノ構造

次の記事

55.03