157.01

【分野】磁性材料

【タイトル】小笠原沖海底のレアアース資源は世界需要の数百年分と推定

【出典】
1) https://www.waseda.jp/top/news/58275 (早稲田大学ニュースリリース)
2) Y. Takaya, et al., Scientific Reports 8, 5763 (2018): doi:10.1038/s41598-018-23948-5
3) https://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/activity/research/consortium/rare-conso/index.html
(レアアース泥開発推進コンソーシアム)

【概要】
早稲田大学、東京大学、海洋研究開発機構などからなる研究グループは、東京都南鳥島沖の排他的経済水域内の海底泥に含まれるレアアース資源量が、現在の世界需要の数百年分に相当することを明らかにした。

【本文】
 高性能モータ、電池、LEDなどの先端工業製品に欠かせない希土類材料は、現在のところごく限られた国での産出に依存しており、食料やエネルギー源と同様にその安定供給は重要な課題となっている。
東京大学エネルギー・資源フロンティアセンターの加藤泰浩教授をはじめとする研究グループは2013年に、東京都小笠原村南鳥島周辺のEEZ1)内に高濃度の希土類資源2)が含まれる海底泥が存在することを見出した。これをうけ同教授が座長を務めるレアアース泥開発推進コンソーシアムは、海洋研究開発機構の研究調査船(みらい、かいれい)を用いて同海域の海底堆積物を採取し、独立成分分析等のデータ解析手法を用いて希土類資源の分布を調査してきた。その結果、約2,500 km2にわたる海域の資源量分布を今回初めて可視化するとともに、同海域の総埋蔵量を定量化することに成功した。報告によると上記海域のうち約4%にあたる105 km2の範囲が最も有望とされ、ここに存在する希土類資源量は酸化物換算で120万トンにのぼる。この中には特にY、Eu、Tb、Dyが現在の世界需要に換算してそれぞれ62、47、32、56年分相当も含まれていることが分かった。また全海域での資源量は1600万トン以上となり、数百年分の供給が期待できるとしている。
 今回の報告ではこのほか、経済性を考慮した選鉱手法等の検討によりこの海底泥が工業資源としての充分なポテンシャルを有していることも指摘された。海底泥の希土類資源利活用に関しては上記コンソーシアムを中心に、採泥から製錬および残泥処理までに関わる各技術の検討や環境モニタリング技術の開発も進められており、現実的な供給源としての早期確立が望まれる。

1) EEZ: Exclusive economic zone=排他的経済水域
2)ここではランタノイド系列La~LuからPmを除きYを加えた計15元素が対象

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