56.01

分野:
磁性材料
タイトル:
経産省「希少金属元素代替プロジェクト」で省Dyネオジム磁石の中間目標達成
出典:
元素戦略/希少金属代替材料開発〈第3回シンポジウム〉講演要旨集「我が国の物質材料科学技術の新展開」
 
 
概要:
 経済産業省の「希少金属代替材料開発プロジェクト」における,高保磁力Nd-Fe-B系希土類磁石のDy量の30%削減を目指す東北大学の杉本諭教授等のグループが,1月27日に開催された「元素戦略/希少金属元素代替材料開発第3回合同シンポジウム」で,中間目標の20%削減を達成したと報告した。
本文:
 元素戦略/希少金属元素代替材料開発第3回合同シンポジウム(元素戦略/希少金属代替材料開発 合同戦略会議 主催)が2009年1月27日(水)午後に東大,安田講堂で開催され、高保磁力Nd-Fe-B系希土類磁石のDy量の30%削減を目指す東北大学の杉本諭教授が,同教授の率いるプロジェクトで中間目標の20%削減を達成したと報告した。

 本プロジェクト「希土類磁石向けディスプロシウム使用量低減技術開発」では,9機関,11研究者により多岐にわたる研究テーマを推進しており、講演では主としてインタメタリックス㈱の組織微細化による高保磁力化、TDK㈱のDyの分布制御による高保磁力化についてデータを紹介した.前者はヘリウムガスを用いたジェットミルを用いて微粉砕粒度を2μm以下に小さくし,焼結組織を微細化してDy添加なしで約1360kA/m(17kOe)の保磁力を得,現状磁石のBr-iHc パフォーマンスラインを,Dyを30%削減した場合に相当する位置に平行移動したラインに迫る室温磁石性能を達成した.また,後者は微細なDyリッチ合金微粉末を,より粒径の大きいNd-Fe-B系合金粒子の周りに配置して焼結することにより,Dyリッチシェル層を持つNd2Fe14B結晶粒からなる焼結組織を得た.材料のマルチスケール解析では,(独)物質・材料研究機構のアトムプローブ分析により、Cu添加焼結磁石の主相と粒界相の組成を明らかにした.そのほか,参画研究機関の(独)日本原子力研究開発機構、山形大学、静岡理工科大学,㈱三徳の主な活動を紹介した.本プロジェクトは平成19年度にスタートし、5年間でDyを30%削減した高性能Nd-Fe-B焼結磁石材料の開発を目指す。

(日立金属(株) 磁性材料研究所 広沢 哲)

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