03.07

03.07 Appl. Phys. Lett.

Al-N層をトンネルバリアに使った磁気トンネル接合:

  最近、Al-N層をトンネルバリアにした強磁性トンネル接合(MTJ)で大きなトンネル磁気抵抗効果(TMR)が観測されたとの論文が掲載された(Tae Sick Yoon, et al., Appl. Phys. Lett. 85, 82 (2004))。関連する内容は日本金属学会会誌(まてりあ6月号:スピンエレクトロニクス材料の研究と展望)にも掲載されている。
  現在、いろいろな材質のトンネルバリアを使ったMTJでTMRが測定されているが、公表されているチャンピオンデータは、Al-O系で70 %、MgO系で88 %(一説には、200 %という噂もあるが)(Wang, et al., Abstract of 9th Joint MMM-Intermag Conference 2004, BD-02: S. Yuasa, et al., Jpn. J. Appl. Phys. 43 Part II, L588 (2004))となっている。
  今回のAppl. Phys. Lettに掲載されたMTJは、Ta(5 nm)/Cu(20 nm)/Ta(5 nm)/Ni76Fe24(2 nm)/Cu(5 nm)/Mn75Ir25(10 nm)/Co71Fe29(4 nm)/AlO-N(X nm)/Co71Fe29(4 nm)/Ni76Fe24(20 nm)/Ta(5 nm)の構造で、X = 1.0 nmであるAl蒸着層を窒化させ、約300 °Cでアニールした時に室温でTMR = 49 %を示した。窒化はKr+N2とAr+N2プラズマで行っている。このときのMTJ素子の抵抗面積積は3 × 104 Ωμm2で、これが小さくなるとTMRは減少するとのことである。Al-N層の窒化は制御し易いのでバリアを形成する上からは有利性があると主張されている。

(産総研 片山利一)

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