38.01

分野:
磁気記録
タイトル:
スパッタ法による平坦なAl薄膜の作製
出典:
Journal of applied physics 102, 024303 (2007)
 
概要:
 DCマグネトロンスパッタで製膜したアルミニウム薄膜の表面粗さを調べた。膜厚は400nm~500nmである。製膜ガス圧を0.13Paとして製膜速度を7.7nm/s、製膜温度を50℃程度にすることで、表面粗さを0.58nmまで抑制できた。
本文:
 アルミニウム薄膜は、光磁気記録媒体や熱アシスト磁気記録媒体の放熱層として重要な役割を担っているが、その表面が粗いことが問題となっている。これを回避するために他の材料や多層化などが考えられるが、耐久性や機能性を考慮すると、アルミ合金で放熱層を形成できることが望ましい。また、陽極酸化アルミナナノホールを利用した磁気記録媒体においても、出発表面となるアルミニウム表面が平坦であることが望ましいであろう。こういった観点から、平坦なアルミニウム薄膜の形成技術は工業的に重要といえる。

 本論文では、アルミニウム薄膜(膜厚:400~500nm)の製膜条件として、製膜ガス圧、投入電力、温度を選び、これらの条件を変えて製膜した薄膜の表面粗さを調べている。一般的に知られていることではあるが、表面粗さは製膜ガス圧に比例して、投入電力に反比例するとともに、製膜温度に対して活性化エネルギー=0.25eVとして指数関数的に増加する。この実験で最も平坦化できる条件は、製膜ガス圧=0.13Pa、製膜速度=7.7nm/s、製膜温度=57℃の場合で、Raは0.58nmまで小さくできた。定性的ではあるが、実験結果について一通りの解釈がなされている。  

(富士通研究所 松本幸治)

磁気記録

前の記事

39.03
磁気記録

次の記事

37.01