14.06

タイトル:
磁気記録研究会設立40周年記念大会が開催される
概要:
 電子情報通信学会 磁気記録研究会設立40周年記念大会が開催された。磁気記録分野の過去,現在,未来と続く技術の流れが,課題への取り組み方,解決過程と供に示された。
本文:
 2005年6月16, 17日,東北大学電気通信研究所ナノ・スピン総合研究棟会議室において,磁気記録研究会設立40周年記念大会が開催された(http://www.ieice.org/es/mr/jpn/index.html)。磁気記録研究会は,1964年12月に発足し,初代委員長は故永井健三元東北大名誉教授で,現在の三浦義正信州大教授が16代目となる。参加者は,会場係をお願いした東北大学 村岡裕明(15代目委員長,以下<15>と略記)研究室の学生さんを含めると,約80名であった。
  講演者は,歴代委員長と現在第一線で活躍中の方々にお願いしたが,当然のことながら,ほとんどの歴代委員長は,現在においても第一線でご活躍中である。初日は,岩崎俊一先生(東北工大学長 <2>)にご挨拶を頂いた後,越本泰弘先生(和歌山大学,<12>),法橋滋郎先生(早稲田大学,<10>),江藤良純先生(日立国際電気)の記念講演,続いて,中村慶久先生(東北大,<9>),杉田 愃先生(東北工大)逢坂哲彌先生(早稲田大)の招待講演があった。磁気記録分野の技術の流れが,課題の解決過程と供に示され,問題への取り組み方,解決法など得るところが多々あった。続く懇親会では,吉田順作先生<3>,鈴木俊行先生<13>を始め大先生方と親しくさせて頂き,「あのとき実は,,,」といった話を数多く聞かせていただく機会となった。
2日目の招待講演のテーマは,磁気記録技術の最近の進歩であった。最新の垂直磁気記録装置技術に関する話題を田中陽一郎先生(東芝),大沢寿先生(愛媛大学),田河育也先生(日立)からご提供いただいた。また,奥田治雄先生(NHK)からは,放送用・民生用記録システムの動向に関するご講演をいただいた。大内一弘先生(AIT,<11>),二本正昭先生(中央大学,<14>),佐藤勇武先生(TDK),村尾直人先生(富士写真フィルム)からは,それぞれ,媒体,イメージング,ヘッド,テープ媒体に関する最新の進展までをお話いただいた。今後,期待されているヘッドと媒体技術に関しては,岩崎仁志先生(東芝),本多直樹先生(AIT)からご講演いただいた。
今回の記念大会を通して,磁気記録における主要テーマが40年間ほとんど変わっていないことを強く印象付けられた。40年前には,現在の磁気記録の発展が予想できた訳ではないが,その時々の研究者の考え方,課題の解決法が,今後の磁気記録を支える研究者にとって,大きな糧となることを実感した。

(日立製作所 五十嵐 万壽和)

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