6.04

6.04:ISOM2004

近接場光による高密度光ディスク

 光記録では光のスポット径により記録密の制限を受けるが、近接場光を利用することによって1以上の高NAレンズを実現し、高密度記録を行った結果が韓国で開催されたISOM 2004 (International Symposium on Optical Memory)にて発表された。
篠田等(ソニー)は、波長405nm、開口数1.84の光学系を用い、書き換え型の相変化ディスクへの記録再生を行った。近接場光を併用するこの方法はレンズの出射面から距離が離れるに従い近接場光が激減するため、従来の光ディスクの常識では考えられないような狭いヘッド/ディスク間を実現する必要がある。磁気記録ではエアベアリングを利用した浮上ヘッドが用いられているのに対し、ここでは、浮上量に対し近接場光が変化する現象を逆利用し、その反射光量をモニタすることでフォーカスを制御し、20±2 nmの安定浮上を実現させている。この技術の意味は20nmの浮上量であるものの、磁気ヘッドに比べ1ケタ以上の良好な周波数特性(ゲイン交点7kHz)を実現し、ポリカーボネート基板を使用可能とした点である。さらに、サーボにより強制的に浮上させることで、パターン形成させたディスク面に対しても安定浮上させることができるだけでなく、熱磁気記録における潤滑材の耐熱性という問題からも解放される可能性を秘めている。ISOMでは、トラックピッチ160 nm、ビット長50 nmの検証実験が示された。これは、CDやDVDに用いられる120 mmのディスクで112GBの容量となる。ビットエラーレート(bER)も1トラックの記録再生で2.0 E-5、隣接トラックにも記録し、クロストーク込みの状態で4.5 E-5と、十分な値が得られている。また、クロストークも考慮に入れた各種動作マージンの測定結果が示され、記録パワーマージン3.74mW±11.2%、再生パワーマージン0.23mW±30.4%が得られたという。これは、光記録においては、いまや常識となっている記録に際するパワー学習を導入することで、十分に実用出来るレベルである。

(松下電器 尾留川 正博)

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