221.02

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【分野】磁気物理

【タイトル】2024ロードマップ・磁気イメージングとその物質科学への応用

【出典】
D. V. Christensen et al. (53 authors), “2024 roadmap on magnetic microscopy techniques and their applications in materials science”, J. Phys. Mater. 7 (2024) 032501 (82 pages)
DOI: 10.1088/2515-7639/ad31b5
URL: https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2515-7639/ad31b5

【概要】
欧州の研究者が纏めた、走査型SQUID 顕微鏡、NV磁気測定、走査型ホール顕微鏡、磁気力顕微鏡、STMと非接触 AFM による原子スケールでのスピン検出、ナノスケール磁気共鳴イメージング、磁気光学イメージング、X線技術、偏光解析による走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡技術、に関するロードマップである。

【本文】
磁気イメージング技術は、近年の磁性材料・デバイス、磁気物理の発展を背景として、日々進展している。筆者は本論文の共著者であるが、この磁気イメージングに係わるロードマップが学会会員に有用と考え、紹介する。本論文の目的をアブストラクトから以下に引用する。
現在、従来とは異なるコンピューティング、データストレージ、センサー応用向けの磁性材料への関心が高まっていることから、物質合成だけでなくその特性評価に関する研究も活発に行われている。磁気特性評価に加えて、ナノおよびマイクロスケールでの磁化パターン、電流分布、磁場の画像化は、物質の応答を理解し、応用する上で非常に重要である。このロードマップでは、走査プローブ顕微鏡を用いた手法、光を用いた手法、および電子線を用いた手法、を利用して、ナノおよびマイクロスケールの磁気イメージングを実行するための幅広い技術的なポートフォリオをカバーすることを目指している。
このロードマップは、この分野の専門家や若い世代の学生のための情報の一元的なアクセスポイント(注;参考文献リストの前に、ORCIDによる論文アクセス情報がある。)として、2次元物質、複合酸化物、半金属、マルチフェロイック、スキルミオン、反強磁性体、フラストレート磁性体、磁性分子/ナノ粒子、イオン伝導体、超伝導体、スピントロニクスおよびスピンオービトロニクス材料など、平面状物質、3次元物質、およびトポロジカル物質等に係わる様々な物質に関する、物理学、物質科学、化学への応用に焦点を当て、今後10年間の磁気イメージング技術の開発の見通しを概説することを目的としている。
なお、筆者は磁気力顕微鏡の箇所で高空間分解能技術としてA-MFM(交番磁気力顕微鏡)を紹介している。日本からは他に、透過型電子顕微鏡の箇所で、東京大学の関真一郎氏がMARS (磁場フリー原子分解能STEM)による反強磁性体等の原子分解能・磁場像を紹介している。

(秋田大学 齊藤 準)

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