102.01
- 分野:
- スピンエレクトロニクス
- タイトル:
- 配線材料を利用した3端子スピントロニクス素子の開発
- 出典:
- “Three terminal magnetic tunnel junction utilizing the spin Hall effect of iridium-doped copper,” Michihiko Yamanouchi, Lin Chen, Junyeon Kim, Masamitsu Hayashi, Hideo Sato, Shunsuke Fukami, Shoji Ikeda, Fumihiro Matsukura, and Hideo Ohno, Appl. Phys. Lett. 102, 212408 (2013).
- 概要:
- 低消費電力、かつ高速な不揮発性記憶素子として、スピンホール効果を利用した3端子スピントロニクス素子が注目されています。東北大学のグループは、スピンホール効果を示す材料として、半導体集積回路の配線材料であるCuをベースとする材料を適用した3端子スピントロニクス素子を開発しました。これにより、半導体集積回路プロセスを活用した3端子スピントロニクス素子開発の進展が期待されます。
- 本文:
- スピンホール効果を示す材料として、半導体集積回路の配線材料であるCuをベースとする材料が着目されています。本研究では、Cuに10%のIrをドープしたCu:Irのチャネル上に磁気トンネル接合(MTJ)を形成し、3端子スピントロニクス素子を作製しました。そして、チャネルに流した1012 Am-2以下の電流により、MTJの記録層の磁化が反転することを確認しました。さらに、磁化反転に必要な電流量を決定づけているのはスピントランスファートルクであることを示しました。これらの成果により、Cuベースの材料を用いて3端子スピントロニクス素子を構成でき、かつ、素子構造が簡便であることから、半導体集積回路プロセスを活用した3端子スピントロニクス素子開発の進展が期待されます。
(東北大学 石山和志)