59.01

分野:
スピンエレクトロニクス
タイトル:
システムLSIに適した微細化が容易な高速MRAM技術を開発
出典:
NECのプレスリリース
(http://www.nec.co.jp/press/ja/0906/1705.html)
概要:
 NECとNECエレクトロニクスは、垂直磁化を用いた磁壁移動方式の高速MRAM(Magnetic Random Access Memory)セルを開発し、動作実証に成功した。
本文:
 
システムLSIの微細化、大規模化の進展により消費電力は増大するため、消費電力を低減するためには電源を切って待機状態にすることが有効で、電源を切っても記録された情報を失わない不揮発メモリを組み込むことが望まれている。

NECは従来より、不揮発メモリの中でMRAMの高速性に着目し、システムLSIに組み込むためのメモリマクロ用に高速MRAM技術を開発していたが、従来の電流磁場書き込み方式のメモリセルは、プロセス最小線幅55ナノメートル以降の世代になると、書き込み電流の増大によりセルサイズを小さくすることが困難だった。

そこで今回、垂直磁化を用いた磁壁移動方式の高速MRAMセルを開発し、動作実証に成功した。今回開発したスピントルク磁壁移動書き込み方式のMRAMでは、スピントルクは磁性体の断面積あたりの電流でその大きさが決まるため、微細化するほど書き込み電流が低減する。

今回の成功は、将来、半導体の微細化が進んでも、高速MRAMセルが適用できることを示すもので、今後、大容量MRAMをシステムの中に組みこんだ形での動作検証を目指す。今回の成果は、京都で開催された学会「2009 Symposium on VLSI Technology (VLSI 2009)」で、6月17日に発表された。

(NEC 末光 克巳)

スピントロニクス

前の記事

60.01
スピントロニクス

次の記事

56.06