58.06
- 分野:
- 磁気応用
- タイトル:
- 第4回強磁場応用専門研究会
- 概要:
- 2009/1/28東京大学本郷キャンパスにて開催、参加者は約30名であった。強磁場の利用が容易になったことで磁場利用の対象が弱磁性物質まで広がり、その結果、多くの分野の研究者が強磁場利用研究に参入した。その結果、磁場発生の分野に対して更なるフィードバックがかかり、両分野の相乗効果が見られている。今回の研究会では、磁場発生の最先端のトピックスと、強磁場の分析化学への利用に関するトピックスについて、講演を頂き、大変活発な議論が行なわれた。
- 本文:
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1. 「超伝導材料開発からマグネット応用まで―東北大金研強磁場センターを中心として―」 淡路 智(東北大)
東北大学金属材料研究所附属強磁場超伝導材料研究センターでは、1992年頃から、冷凍機冷却超伝導マグネット開発を継続的に行い、大口径型では28 T無冷媒ハイブリッドマグネット、強磁場型では高温超伝導インサートを用いた18 T無冷媒超伝導マグネットなどへと発展させてきた。これらの技術は金属系超伝導材料の要であるNb3Sn超伝導線材や、高温超伝導線材開発などと密接に関連している。講演では、事前曲げを行なうことで、Nb3Sn超伝導線材の特性が向上することや、将来計画として30 T超伝導マグネット及び50 Tハイブリッド計画などへの展開、さらにはこれらのマグネットを用いた新しい強磁場実験技術などについての紹介が行なわれた。2. 「磁気力・電磁力による微粒子分離分析法の開発」 諏訪 雅頼 (阪大)
環境中や生体中にはnm-μmサイズの微粒子が多く存在し重要な役割を担っている。このような微粒子に対する分離分析法は確立されておらず、材料化学、環境科学および生命科学等の広い分野において非常に重要なテーマとなっている。講演者らは、新しい微粒子分離・キャラクタリゼーション法として磁気泳動法や電磁泳動法を開発している。講演では、磁気泳動法を用いた微小油滴界面に吸着した常磁性化合物の定量や、光誘起スピン転移の磁化測定による検出、電磁泳動法を用いた微粒子表面分析法やクロマトグラフィー、また磁気質量分析法への展開など、強磁場の多彩な分析応用についての紹介が行なわれた。
(物材機構 廣田憲之)