33.04

分野:
磁気物理
タイトル:
スピン・電子運動量密度研究会が開催される
出典:
スピン・電子運動量密度研究会 (2007.02.23 兵庫県佐用郡 SPring-8内) 
http://www.spring8.or.jp/ext/ja/sus/
概要:
 大型放射光施設SPring-8の磁気コンプトン散乱のユーザーグループがスピン・電子運動量密度研究を開催し(2007.02.23)、今後ビームラインの現状、今後の方針について議論した。
本文:
 
磁気コンプトン散乱は,磁性体の磁化に寄与する電子のスピン磁気モーメントの大きさとその運動量分布との相関を測定する有効な手段であるが、高輝度の放射光を用いるため利用できる実験装置が限られている。日本ではつくばKEK-PF-ARと播磨SPring-8の二箇所である。しかしながら、KEK-PF-ARの装置は稼動を開始してから15年近くが経ち現在のコンプトン散乱研究におけるニーズに対して充分になものではなくなりつつある。SPring-8 BL08Wにおけるユーザー数・課題数は、国内・国外を問わず増加しているのに加え、PF-ARで蓄積された技術、ユーザーのニーズを継承・発展させることが必要となる。

 これを踏まえ、SPring-8利用者懇談会スピン・電子運動量密度研究会(代表:兵庫県立大学・小泉昭久)が2007.02.23にSPring-8(兵庫県佐用郡)サイトで開催された。施設からは現在稼動中の装置の高度化として検出器の2アーム化、Niレンズの導入による測定の効率化、ヒステリシス測定への取り組み、5年以内程度の将来計画としてコインシデンス、時分割、測定への技術開発、また、マンパワーの問題などの紹介があった。ユーザーからは磁性薄膜の測定、計算プログラムの開発、高圧下での測定、二次元再構成についてなど数多くの話題提供があった。磁気コンプトン散乱は測定対象も広がりつつあり、さらにユーザー層の拡大することで磁性研究の新たな展開が期待される。

SPring-8 BL08Wについて詳しくは下記のURLをご覧ください。
http://www.spring8.or.jp/wkg/BL08W/instrument/lang/INS-0000000432/instrument_summary_view 

(日本原子力研究開発機構 安居院あかね)

磁気物理

前の記事

33.03
磁気物理

次の記事

31.02