33.02
- 分野:
- スピンエレクトロニクス
- タイトル:
- 2メガビットのスピン注入磁化反転RAMチップ試作に成功
- 出典:
- 日立製作所のプレスリリース
(http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/02/0213.html) - 概要:
- 日立製作所と東北大学は、共同でスピン注入磁化反転方式を用いた2メガビットの不揮発RAMチップ試作に成功し、その成果を2月に開催されたISSCC 2007で発表した。
- 本文:
- 日立製作所と東北大学は共同で、微細化、低電力化に優位なスピン注入磁化反転RAMの 基本回路技術を確立した。そして、2メガビットのチップを世界で初めて試作し、その成果を2月に米国サンフランシスコで開催された「国際固体素子回路会議(ISSCC 2007)」で発表した。
スピン注入磁化反転RAMは、素子の微細化に応じて、データの書き込みに必要な電流を低減できることから、ギガビット級の「ユニバーサルメモリ」候補として期待されている。但し、従来の半導体メモリとは異なり、TMR素子に流す電流の向きを「1」と「0」で逆にするという特殊な回路動作が必要となる。そこで今回、1つのメモリセルに2本のビット線を設け、電流方向に応じて一方のビット線をグラウンドの役目を担うようにし、TMR素子に流れる電流方向を切替えるスイッチを回路に設け、書き込み電流の向きを切替えて情報を書き込めるようにした。
また書き込み・読み出し時ともにTMR素子に電流を流す必要があるため、読み出し電流による誤書き込みのリスクがあるが、読み出し電流の向きによって誤書き込み確率が違うことを見出し、今回はTMR素子の上から下へ流れる電流を用いることで、スピン注入磁化反転RAMの読み出し動作における誤書き込みの課題を解決した。読み出し時のビット線の電圧は0.7Vで行った。
これらスピン注入磁化反転方式に適したメモリ回路技術とMgOトンネル絶縁膜を用いたTMR素子の開発により、1.8Vの低電力で、書き込み時間100ナノ秒、読出し時間40ナノ秒の高速で動作する2メガビットのスピン注入磁化反転RAMチップの試作に成功した。今後、ギガビット級ユニバーサルメモリの実現が期待される。
(NEC 末光 克巳)