33.01

分野:
ハード磁性材料
タイトル:
希土類磁石の省Dy化材料開発が政府のプロジェクト目標に
出典:
「希少金属代替材料開発プロジェクト」基本計画、および公募要領
詳しくは下記のURLをご覧ください。
http://www.meti.go.jp/information/data/c70301aj.html
概要:
 ハイブリッド自動車等に大きな需要拡大が見込まれている高保磁力型Nd-Dy-Fe-B磁石に使用され、供給逼迫が懸念されている稀少元素Dyについて、3月1日に経済産業省が公募を開始した「希少金属代替材料開発プロジェクト」において、Dy使用量の30%削減が具体的目標のひとつとして取り上げられた。
本文:
 大きな需要拡大が見込まれているハイブリッド自動車では駆動モータおよび発電機を狭いエンジン周りに配置するために高性能希土類磁石が必要とされ、その環境温度は200℃に達するとされている。DyはNd2Fe14B化合物の結晶磁気異方性を高める作用により焼結磁石の保磁力を高めて高温環境でも熱減磁しないようにするために、Nd-Dy-Fe-B焼結磁石に5~10wt%添加されており、その使用量が希土類元素の自然存在比を大きく超えているうえに、現在商業的に開発されている鉱床の推定埋蔵量が少なく、鉱床存在地域も世界的に偏在していることから、元素戦略の必要性が認識されるに至った。高保磁力化目的でDyと同様の効果を発揮する希土類元素としてはTbがあるが、その存在比率はDyよりもはるかに低い。現在までに焼結Nd-Fe-B系磁石の保磁力は微量元素添加や熱処理条件の探索により既に開発初期と比較すると著しく改善されており、DyまたはTbの添加量を削減することは容易ではなくなっている。この現状に対処するため、平成19年から平成23年にわたる5年間で磁石中のDy使用量を30%削減することを目標にした研究課題の公募が、3月1日に開始された経済産業省の「稀少金属代替材料材料開発プロジェクト」の研究課題に取り上げられた。そこではDyが他の重要稀少元素、すなわち、液晶パネル電極材料に使用されているInおよび超硬工具に使用されている Wと並ぶ、我が国の産業戦略的に特に重要な希少資源に位置付けられている。研究課題として界面構造解析による保磁力発現機構の解明などが挙げられており、全国において活発な研究開発がなされ、保磁力発現原理など基本的な未解明の課題についても理解が進み指導原理が明らかにされることが期待される。

株式会社NEOMAX 磁性材料研究所 広沢 哲

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