6.02

6.02:MMM 2004より

パーマロイ膜をPt膜で挟み込んだ膜にスピンダイナミクスが関与か

東北大学の安藤氏を始めとするグループから、スピンポンピングがパーマロイ膜のスピンダイナミクスに及ぼす影響についての報告があった(EQ-08:Effect of spin pumping on Gilbert damping for thin permalloy films detected by using time-resolved Kerr effect, Y. Ando, H. Nakamura, J. Yu, S. Mizukami and T. Miyazaki)。
パーマロイ膜をCu膜で挟み込んだ場合には、パーマロイ膜厚を薄くしてもα値に変化は無いが、パーマロイ膜をPt膜で挟み込んだ場合には、パーマロイ膜を30 nm以下にするとα値が急増し歳差運動の減衰が大きくなることを示した。これは、Ptが強いスピンシンクとして働くためであるとしている。スピンカレントの拡散長は数十nmに達することを考えると、安藤氏らの結果は、極薄の多層デバイス形成において全く別の目的で挿入されている層が、スピンダイナミクスに大きな影響を与えている可能性を示している。磁気ヘッドの高速化対応が重要であるとは認識されながら、高密度化の議論に比較するとスピンダイナミクスに関する議論が比較的少ないが、今後、重要となる領域である。

(東北大学 島津武仁)

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