4.02

4.02:ICF9

LPE法による高周波デバイス用バリウムフェライト厚膜のエピタキシャル成長

 2004年8月22日~27日に米国サンフランシスコで行われた第9回国際フェライト会議(ICF9)において、Northeastern UniversityのS. D. Yoon, V. G. Harris, C. Vittoriaのグループは高周波応用のためのバリウムフェライト(BaFe12O19)の厚膜(膜厚100μm程度)の作製法とその高周波特性に関して発表した。
その作製法は、基板にサファイア(1100)やGGG(111)を用いて0.5ミクロン程度のシード層をPLD法により形成し、その後LPE法によって40~200μmのバリウムフェライト厚膜をエピタキシャルに成長させる手法である。基板がGGGの場合は、膜形成速度は35μm/h、そしてサファイアの場合は51μm/h程度である。得られたバリウムフェライト膜は、用いた基板により結晶配向面が異なるが、サファイヤ(1100)基板の場合、磁化容易軸(六方晶のc 軸)は膜面内に有り、GGG(111)の場合はc 軸が基板面に対して垂直配向した膜となる。c 面および(110)面の配向分散角は、ロッキングカーブで評価したΔθ50(半値幅)では約0.05º となり、非常に優れた配向性を示している。磁気特性は飽和磁化4.5 ~ 4.6kGであり、保磁力は100Oe 程度であった。40~60GHzにおいてFMRの吸収モードで測定したΔH は100Oeであった。また、試料の異方性磁界Hk は16.9kOeとほぼ単結晶の値(17kOe)に匹敵する値であった。
今回の発表が第一報ではないが、本方法ではPLDやスパッタ法では困難な数百ミクロンの厚い膜を容易に形成することが可能であり、しかも単結晶と同程度の品質を有していることから、今後、高周波デバイスへの適用の観点から注目される。

磁気応用

次の記事

4.03:ICF9