第71回ナノマグネティックス専門研究会報告
- 日時:
- 2016年7月15日(金) 13:30~17:00
- 場所:
- 日本大学 理工学部 駿河台キャンパス1号館
- 参加者:
- 25名
マルチフェロイックスの最近の進展をテーマとした研究会をIEEE Magnetics Societyと共同で開催した。マルチフェロイック材料は多様な物理現象が得られることから、今後の応用も含め進展が期待される分野である。今回はIEEE Distinguished LecturerであるUCLAのCarman教授と、東工大の谷山准教授、および東京大の岡林准教授の3名を講演者に迎えて、最近のトピックスからホットな実験結果まで、マルチフェロイックの大きな可能性を示す様々な議論がなされた。
- “Magnetics + Mechanics + Nanoscale = Electromagnetics Future”
○Greg P. Carman (Univ. of California, Los Angeles)
ナノスケールの磁性を制御するアプローチとして、歪みを介するマルチフェロイック複合材料の進展が報告された。スピントランスファートルク(STT)による磁化制御では低効率が問題となるが、磁気弾性効果による磁気異方性の制御は非常に高い効率を有し、新しい応用への展開が期待されることが示された。電極膜を積層したPZT等の圧電材料上に形成したNi薄膜では、リング状に形成した場合も含め、電圧印加により磁化状態を制御できることが示された。
- “Electric Field Control of Magnetism in Multiferroic Heterostructures”
○Tomoyasu Taniyama(Tokyo Inst. Tech.)
ナノスケールの磁性を制御するアプローチとして、歪みを介するマルチフェロイック複合材料の進展が報告された。スピントランスファートルク(STT)による磁化制御では低効率が問題となるが、磁気弾性効果による磁気異方性の制御は非常に高い効率を有し、新しい応用への展開が期待されることが示された。電極膜を積層したPZT等の圧電材料上に形成したNi薄膜では、リング状に形成した場合も含め、電圧印加により磁化状態を制御できることが示された。
- “Manipulating Orbital Magnetic Moments Probed by X-ray Magnetic Circular Dichroism”
○Jun Okabayashi(Univ. Tokyo)
各種材料における軌道磁気モーメントと磁気異方性について、XMCD測定結果を基にした講演がなされた。Fe/MgO基板の界面におけるFe 3dz2軌道とO 2p軌道とのハイブリダイゼーションの効果と垂直磁気異方性との関係や、Co/Cu/Pt多層膜におけるCu層厚と軌道磁気モーメントあるいは垂直磁気異方性との関係等について報告がなされた。
文責:鴻井克彦(東芝),長谷川 崇 (秋田大)、宮内大助(TDK)