第43回強磁場応用専門研究会

低温工学・超電導学会2017年度第1回 磁場の多様性と利活用に関する調査研究会
応用物理学会 磁気科学研究会

近年、幅広い分野へ高磁場環境が普及したことで、磁場に対して多様なニーズが生みだされるようになりました。これを受けて高磁場発生環境も時間的・空間的な多様化が進み、さらなる磁場の普及に寄与するという相乗効果が生み出されています。
今回は、磁場応用に関連する分野で活躍する若手研究者の話をじっくり伺う機会として、この分野で学位を取得された方に、学位論文の内容についてご講演いただくこととしました。そこで、昨年度学位を取得された、富士化学株式会社の笹原茂生氏(信州大学で学位取得)と九州大学の中山 麗氏(日本大学で学位取得)のお二人をお招きしてご講演いただきます。できるだけじっくりと議論するため、講演時間を長めにとっています。またとない機会ですので、是非、ご参加いただければと思います。

日時:2017年9月25日(月) 13:30~16:20
場所: 大阪大学大学院 工学研究科 A1棟111号室
    (大阪府吹田市山田丘2-1)
参加費: 無料

プログラム

13:30~14:50 シリカゲル生成過程におけるケイ酸構造の制御:強磁場とアルミニウム添加の効果
笹原茂生 (富士化学)

ケイ酸の重合反応は複雑であり、生成物は多くのケイ酸種を含有している。シリケート水溶液のゲル化過程における構造変化を、NMR測定とケモメトリクスによる解析を行い、磁場や添加物の効果を検討した。磁場は中間生成物の構造に影響を与え、ゲルのミクロ孔の生成に影響を与えた。Alを添加したシリケート水溶液のNMRスペクトルから、Alがシリカの骨格に4配位構造で取り込まれ、6配位構造に変化しながら放出されていく過程が示唆された。

15:00~16:20 ポリ乳酸結晶に及ぼす強磁場の影響に関する研究
中山 麗 (九大)

化石資源枯渇問題や地球環境問題を解決できる新規材料として注目されているバイオマスプラスチックのポリ-L-乳酸(PLLA)の力学特性の向上を目標とし、熱処理と磁場照射を併用することで、PLLA配向フィルムの作製を目指した。また、PLLA結晶の磁場応答性、とりわけ、磁場配向に適した環境について検討した。本研究では、これまで高分子単独での磁場配向化は極めて困難とされていたが、適した熱処理を行うことで、PLLA結晶の成長を制御しつつ、磁場照射を併用することで結晶部の配向化に繋がることを明らかにした。