巨大磁気抵抗(GMR)効果の発見者の一人であるPeter Grünberg教授が2018年4月7日にお亡くなりになりました。享年78歳でした。
Grünberg教授は1939年に生まれ、1969年にドイツのDarmstadt工科大学で博士号(物理学)を取得されました。1969年から1972年までカナダのCarleton大学でポスドクとして研究され、その後ドイツのForschungszentrum Jülich(ユーリヒ研究センター)の固体物理学研究所に入所し、2004年に退職されるまで薄膜・多層膜の磁性研究を続けられました。
1986年、Grünberg教授は薄いCr層を介したFe層間の反強磁性交換結合を発見し、さらに1988年に巨大磁気抵抗効果(GMR)を発見されました。GMRはハードディスクの読み取りヘッドで広く使用され、さらにその後のスピントロニクスの発展の基礎となりました。Grünberg教授は、同時期に独立にGMRを発見したフランスのAlbert Fert教授とともに、2007年にノーベル物理学賞を受賞されました。
Grünberg教授は、東北大学を始めとする日本の研究機関にも幾度も招かれ、多くの日本の研究者と親交があり、日本の磁気の発展にも大きく貢献されました。
ここに哀悼の意を表し、謹んでご冥福をお祈りいたします。
公益社団法人 日本磁気学会