日本磁気学会 第204回研究会報告
「磁気イメージングチュートリアル
〜研究を加速させる可視化技術の初歩から最先端まで〜」
- 日 時:
- 平成27年11月25日(水)10:30-16:20
- 場 所:
- 中央大学駿河台記念館
- 参加者:
- 28名
磁気特性を評価する技術は年々発展しており,中でも面で磁気特性を評価する磁気イメージング技術は,磁性体の特性および磁気に関する相互作用を,それら空間分布まで捉える事が出来るため多くの有意義な情報を得る事ができる。
本研究会は,磁気イメージング分野の最前線でご活躍されている講師を招いて磁気イメージングに関する初歩的なことから先端技術とその応用までを,チュートリアル形式にご講演頂く研究会を開催した。
- 「磁気光学効果を利用した磁化と磁場のイメージング」
○石橋隆幸(長岡技科大)
磁気光学効果を利用した磁化と磁場のイメージングについてご講演頂いた。磁気光学顕微鏡の作製方法についてご講演頂き,簡単に磁化と磁場の大きさをイメージングする方法について報告があった。
- 「一括撮像法による磁気光学イメージング 〜μmからcm視野の動的磁区像と磁界像〜」
○目黒 栄(ネオアーク),斉藤 伸(東北大)
Kerr効果の原理からKerr効果を用いた磁区観察顕微鏡の歴史についてご講演頂いた。μmからcm視野を動的に面内と極方向磁化による磁気光学イメージを一括で測定する方法および高分解能で測定する方法について報告があった。
- 「磁気力顕微鏡の基礎と最近の動向」
○齊藤 準(秋田大)
磁気力顕微鏡(MFM)の計測方法の原理として振幅検出法,位相検出法,周波数検出法について御報告頂いた。特に空間分解能を向上させるために,交番磁気力顕微鏡等の最近の動向について報告があった。
- 「Nd-Fe-B系磁石のイオンミリング-SEM-MFM観察」
○山岡武博,辻川葉奈,安藤和徳,蓮村 聡(日立ハイテクサイエンス)
永久磁石の熱消磁過程や強磁場(最大10kOe)のその場MFM観察の報告があった。イオンミリングを利用して個々の微結晶,粒界構造の明確観察や,走査電子顕微鏡(SEM)とMFMの同時観察による組成と磁気特性の評価方法について報告があった。
- 「放射光磁気イメージング技術と応用例の紹介」
○中村哲也(SPring-8)
円偏光X線を透過吸収させる際に,左右円偏光の吸収の差として磁化をイメージングするX線磁気円二色性(XMCD)についてご講演頂いた。XMCDの元素選択性を利用する事で,各磁性元素の磁性の分離評価および特定の磁性層や界面の磁化挙動の選択的に測定する方法について報告があった。
- 「スピン偏極走査電子顕微鏡(スピンSEM)とその応用」
○考橋照生(日立)
強磁性体試料から放出される2次電子のスピン偏極度を信号とする磁区観察装置であるスピン偏極走査電子顕微鏡(スピンSEM)についてご講演頂いた。特にスピンSEMの原理や基本構造,また磁気デバイス解析に応用した例の紹介があった。
文責:高木宏幸(豊橋技科大)