第154回研究会報告
「ナノ構造磁性体作製技術の最新動向」
日時:2007年5月15日(火) 13:00~16:40
場所:中央大学駿河台記念館
参加者:74名
最新のナノ構造磁性体作製技術について,第一線でご活躍の研究者による講演がなされた.各講演とも研究の背景から最新の成果まで丁寧にまとめられ,充実した内容であった.議論も活発になされ,新しい技術を駆使するナノ構造化への関心の高さをうかがい知る研究会となった.ご多忙の中,講演していただいた講師の皆様,ならびに活発にご討論いただいた参加者に紙面を借りて感謝したい.以下,概要を報告する.
講演内容:
- 「集束イオンビームによる立体ナノ構造形成技術とナノインプリント技術」
松井真二(兵庫県立大)
集束イオンビーム励起表面反応を用いるFIB-CVD技術について,その原理と3次元CADデータによる種々の立体ナノ構造の作製例が報告された.また,ナノインプリント技術について,熱ナノインプリントされた10 nmのPMMAの転写パターン,UVナノインプリントによる最小線幅5 nmパターンの転写などの実例が紹介された.
- 「アルミナナノホールアレーの形成と微細加工への応用」
益田秀樹(首都大/神奈川科学技術アカデミー)
酸性電解質溶液中でAlを陽極酸化することにより得られるアルミナナノホールアレー構造とその応用に関して紹介された.アルミナホールの規則配列の形成,テクスチャリング処理によるシングルドメインナノホールアレーの作製,超高密度磁気記録媒体への応用などの最新の成果が報告された.
- 「パルス時間変調プラズマによる損傷フリー微細・磁性膜エッチング技術」
寒川誠二(東北大)
パルス時間変調プラズマによる磁性薄膜エッチングについて報告された.時間変調プラズマ中に生成する負イオンの効果により,PtMn単層膜およびMTJ積層膜の磁気特性に対しダメージの無い高反応性・高選択の磁性薄膜RIEが実現でき,MRAMデバイスにおける微細加工技術として有望であることが示された.
- 「超臨界CO2リフトオフによる微小トンネル接合の作製」
福島章雄(産総研)
100 nmサイズの微小トンネル素子の作製におけるリフトオフ工程での歩留まりをあげる手法として,超臨界CO2リフトオフ法が紹介された.超臨界CO2洗浄装置を用い,IPA+NMPを溶剤とすることで,50 nm程度までのリフトオフが可能であること,さらに100 nmサイズのMgO-TMR素子が作製できることが報告された.
- 「AFMリソグラフィによるナノ構造磁性体の電気特性・磁気特性の制御」
竹村泰司(横浜国大)
原子間力顕微鏡(AFM)を用いたリソグラフィ手法とその評価について報告された.局所陽極酸化によるナノ酸化加工の原理,プレーナ型強磁性構造の作製と電気的・磁気的特性,ナノ磁性構造の作製とその磁区構造観察など最新の実験結果が紹介された.