第130回研究会報告

省エネルギーにつながるモータの高性能化技術

日 時: 2003年5月22日(木) 13:30~17:10
場 所: 中央大学駿河台記念館
参加者: 63名

  1. 「モータの原理と分類および高性能化技術」
    穴澤義久(秋田県立大)

    最近の米国におけるモータの省電力の法制化について触れた後,モータの原理と分類,エネルギー損失についてわかりやすく解説した.次に,モータの高効率化の基本的な考え方について述べ,省エネルギーに関するいくつかの技術を紹介した.

  2. 「IPMモータの高効率化技術」 
    大山和伸(ダイキン空調技術研究所)

    高効率モータとして注目されているInterior Permanent Magnet(IPM)モータについて,発生トルクと磁気特性の特徴,エアコンを事例として高性能化の流れについて紹介した.また,IPMモータを最大効率で動作させるための位相制御と駆動波形について述べた.

  3. 「モータ高性能化のための磁界解析の最近の話題」
    高橋則雄(岡山大)

    モータの精度良い磁界解析を行うためには,応力などによる影響や回転磁束下での鉄損の推定法などのモデリング手法が重要であることを例示して解説するとともに,最適化手法を用いたモータの最適設計についても言及した.

  4. 「高性能小型モータのための希土類ボンド磁石の作製」
    山下文敏(松下電器)

    カーリングによって環状形状に変換可能なシート状のボンド磁石とその小型モータへの応用例を紹介した.また,日本の小型モータの産業競争力を考慮すると,異方性希土類ボンド磁石を応用した次世代型モータの開発と普及を急ぐ必要があるとアピールした.

  5. 「回転機鉄心性能の劣化要因と高性能化」
    開道 力(新日鐵)

    鉄心性能は多次元,非正弦波の励磁や,素材加工,鉄心固定による応力歪と積層間短絡などで性能が劣化する.従って,回転機鉄心の高性能化には,高性能鉄心素材の適用と共に,鉄心性能劣化などを考慮した設計が重要であると述べた.



 本研究会ではモータの解析や設計に携わっておられる第一線の研究者をお招きし,「省エネルギー」をキーワードに最新の研究成果を紹介していただいた.モータを多面的に扱ったやや欲張りな企画であったが,講演者の方々のご努力のおかげで参加者のニーズを満たすことができたのではないかと思われる.最後に,お忙しいなかお引き受けいただいた講演者の皆様に紙面を借りて感謝いたします.

(住特金 槇田 顕)

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