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「ナノ磁性体・微細磁性素子の作製〜トップダウンとボトムアップ〜」
日時:2010年5月27日(木) 10:30〜16:30
場所:中央大学駿河台記念館
参加者:34名
近年のナノテクノロジーの進歩により、ナノ磁性体・磁性素子の作製技術の微細化レベルや制御性が向上し、その結果ナノ磁性体・磁性素子の活躍の場も広がってきた。本研究会では、一層の発展が期待されるナノ磁性体・磁性素子作製技術について、エッチング等により"トップダウン"で加工する手法から"ボトムアップ"で微粒子等を集合・成長させる手法までの幅広い範囲にわたり、第一線でご活躍の7名の講師の方を迎え、最新の研究成果の紹介とこれらの技術の将来性等についての議論が行われた。以下に講演の概略を示す。
講演内容:
- 「MRAM用MTJ微細加工技術」
木下啓藏(NEC) ICPメタルエッチング装置によるMTJ加工を、純Ar、Ar/Cl2系およびメタノール系で比較し、磁気特性への影響を検討した。ハロゲン等反応性ガスを利用することは磁気特性に大きな影響をおよぼし、反応性ガスにさらされている時間を短くすることが必要であること等が紹介された。
- 「自己組織化を用いたビットパターンド媒体におけるサーボパターンの作製」
鎌田芳幸(東芝) 次世代HDD媒体として期待されているビットパターンド媒体において、配列制御された自己組織化技術を用いてサーボパターンを作製し、サーボ信号の精度について検討した。位相差サーボパターンはサーボ信号出力ばらつきに対してロバストであり、ドットサイズ分散の大きな自己組織化ビットパターンド媒体に適していること等が紹介された。
- 「イオン照射によるナノ磁性構造の作製」
加藤剛志(名大) 高密度ビットパターンド媒体の作製において、イオン照射により磁気的に孤立した微細ドットを形成する方法を検討した。L12型の規則合金であるCrPt3を低ドーズのイオン照射を用いて磁気秩序を変化させることで、平坦性を損なうことなく磁気的に孤立した微細ドットが形成できること等が紹介された。
- 「2次元/3次元自己組織化を目指した磁性ナノ粒子の作製」
白土 優(阪大) 規則配列された磁性ナノ粒子の作製方法として、単結晶基板上での磁性超薄膜の島状成長や蛋白質の3次元結晶化を用いることを検討した。α−Al2O3(0001)上にFeナノ粒子を2次元配列させるための条件および作製したFe粒子の磁気特性や、蛋白質としてPfVを用いることで3次元配列する磁性ナノ粒子を作製する方法等が紹介された。
- 「トバモウイルス遺伝子改変体を用いた磁性粒子ナノ構造の作製」
小林未明(奈良先端大/現 癌研究所) ボトムアップ式のナノ構造体作製方法として、生体材料の持つ規則構造を利用することを検討した。内径数nmの筒状構造を持つトバモウイルス遺伝子の内部空洞に、Pt/Coの磁性ナノ粒子列を配列させることに成功した結果等が紹介された。
- 「格子不整合を用いた磁性ナノ粒子集合体の創製」
水口将輝(東北大) 強磁性体のナノ粒子集合体の作製方法として、エピタキシャル成長させる際の格子不整合を用いることを検討した。格子不整合を調整してミスフィット歪みを利用することで、MgO上のFeナノ粒子の形態を制御することが可能であること等が紹介された。
- 「液相レーザー照射法による磁性ナノ粒子の改質」
川口建二(産総研) 液相レーザー照射法というユニークなレーザープロセスを用いて、不純物フリーなナノ粒子溶液を作製することを検討した。液相レーザー照射法および液相レーザーアブレーション等のレーザープロセスの詳細や、これらを用いたマグネタイトのナノ複合粒子を作製した例等が紹介された。
(文責: 天野 実(東芝))
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