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「磁気イメージング技術の最前線」
日時:2007年7月20日(金)10:00〜16:40
場所:中央大学駿河台記念館610号室(参加者多数のため680号室より変更)
参加者:60名
日本応用磁気学会の名称変更に伴い、今年度の第31回学術講演大会より表面・界面・観察技術のセッションを新設した。その旗揚げとして本研究会「磁気イメージング技術の最前線」を開催した。当初の予想に反し50名を超える多くの皆様に参加していただき、講演途中で大きい会場へ変更するという嬉しい悲鳴であった。多くの方が本分野に関心を持っておられることを実感し、充実した研究会となった。
講演内容:
- 「Kerr効果顕微鏡 -μmオーダの迅速な磁区構造観察と磁区内局所磁化方向の決定-」
斉藤伸(東北大)
μmオーダの磁区構造を簡便・迅速に観察できる実験室規模の装置として,Kerr効果顕微鏡が紹介され,開口絞りの小口径化による消光比の改善,2方向入射による局所磁化方向検出の試み等,最近の検討結果の報告がなされた。
- 「放射光を用いた磁気状態観察:磁気2色性・光電子顕微鏡」
木下豊彦(JASRI)
放射光を用いた磁気イメージングに関して具体的に紹介された。光電子顕微鏡の実験例を中心に、光を絞って顕微鏡を実現する手法や、外部磁場パルスに対する応答現象の観測についても紹介された。
- 「スピン偏極SEM」
甲野藤真(CERS)
スピン偏極SEMの特徴や性能について、各国研究グループの開発動向も含めて解説された。新たに開発された高分解能スピン偏極SEMを用いて、ナノスケールの磁気構造を実空間定量解析した結果が紹介された。
- 「カーボンナノチューブを用いた磁気力顕微鏡」
秋永広幸(産総研)
10nm以下の空間分解能を備えたCNT探針磁気力顕微鏡について、その作製方法、分解能評価結果、適用事例が紹介された。「定量性のなさ」と「観察対象物への磁気的擾乱」という問題が、これからも磁気力顕微鏡観察における欠点であり続けるかが議論された。
- 「走査型ローレンツ力顕微鏡」
真島豊(東工大)
導電性カンチレバーを流れる電流と磁性試料の水平方向の漏れ磁束によるローレンツ力を検出し磁気分布像を観察する手法である走査型ローレンツ力顕微鏡(Scanning Lorentz Force Microscopy, SLFM)の開発が紹介された。
- 「MOSFETプローブを用いた走査型ホールプローブ顕微鏡観察」
山口明啓(慶応大)
感磁領域5μm×5μmを持つSi-MOS型FETマイクロホール素子の研究開発について報告された。開発したSi-MOS型ホール素子を用いた永久磁石Sm2Co17の漏れ磁場像を用いて、1.5Tの強磁場印加状態において永久磁化種の存在が示された。
- 「電子線ホログラフィー」
進藤大輔(東北大)
電子線ホログラフィーとローレンツ顕微鏡法の原理を紹介された。応用例として、電子線ホログラフィーによる磁性ナノ粒子や磁気記録媒体内外の磁束の解析、またローレンツ顕微鏡法による交流磁場下での磁壁挙動の動的観察例が紹介された。
- 「スピン偏極走査トンネル顕微鏡分光法」
山田豊和(学習院大)
スピンに依存した固体表面の電子状態を原子スケールの分解能で探ることができるスピン偏極STM/STS(走査トンネル顕微分光法)に関して、その原理と基本的な解析法が実際の層状Mn(001)膜を用いて行われた実験結果をまじえながら紹介された。
(文責 学習院大・山田豊和)
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