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「様々な磁化反転現象」
日時:2006年5月18日(木)13:00〜16:40
場所:中央大学 駿河台記念館
参加者:67名
講演内容:
- 「CoPt/Ru垂直磁化パターン膜の磁気特性と磁化機構」
島津武仁,菊池伸明(東北大),J. C. Lodder (Univ. of Twente, NL)
CoPt/Ru垂直磁化膜を用いた直径80〜240nmの孤立ドットの磁気異方性と、予想される磁化反転機構、ならびに、この薄膜をパターン媒体に用いる場合の課題などについて紹介があった。
- 「磁性半導体における光誘起磁化の最近の進展」
宗片比呂夫、近藤 剛(東工大)
III-V族磁性混晶半導体のキャリア誘起磁性の起源と、光励起によって起こる磁化の変化に関する実験結果のまとめについて報告された。具体的には、磁化の光励起歳差運動、面直磁化成分の光励起、ならびに、磁化変化の直接観察について論じられた。
- 「ギルバート緩和の微視的理論」
佐久間昭正、山田直良、蓮佳澄(東北大)
ランダウ・リフシッツ方程式に代表されるスピンの運動方程式が電子論の枠組みから構成できることが示された。このときギルバート緩和定数は、現象論的パラメータではなく、熱浴として働く電子ガスによる抵抗として厳密に導入可能であると論じられた。
- 「スピン注入磁化反転過程の有限温度シミュレーション」
小野木敏之(日立)
有限温度のマイクロマグネティック・シミュレーションにより、Coナノ微粒子とパーマロイ・ナノドットのスピン注入磁化反転過程を解析し、顕著な熱活性効果やボルテックスと反ボルテックスの対生成、消滅現象が見出されたことが報告された。
- 「スピン注入メモリの試作」
山元哲也、細見政功、山岸肇、別所和宏、肥後豊、山根一陽、山田浩之、庄子光治、八野英生、福本千恵子、長尾一、鹿野博司(ソニー)
スピン注入磁化反転を利用した新しい不揮発メモリを初めて試作し、動作を実証した。試作したチップで10ns以下の高速動作を確認した。反転動作の測定結果は、熱揺らぎを考慮した解析とよく一致し、反転がスピン偏極電流によることが確認できた。さらにMgOトンネルバリアの信頼性が1012サイクルの動作試験によって確認された。
本研究会は、日本応用磁気学会総会の終了後に行われた。講演テーマのキーワードを磁化反転現象として様々な分野からの講演を行っていただいたことで、参加いただいた方についても幅広い分野からお越し頂けた様である。このような中、講演者の皆様には専門外の方にも分かりやすく解説いただき充実した研究会となった。ただ、会員以外の方の参加が少なかったことは少々残念な印象であった。
(日立金属 三俣千春)
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