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第124回研究会・第77回マイクロ磁区専門研究会
「ハードディスクの最近の技術動向と新たな応用の展開」
 
日 時:2002年3月7日(木) 9:30〜16:45
場 所:機械振興会館
参加者:107名
 
講演内容

1. イントロダクトリトーク     三浦義正(富士通)
 HDDのビジネス動向を述べた後、記録ヘッド、再生ヘッド、磁気記録媒体およびドライブ技術それぞれについて、最近の技術動向と課題を概説した。また、新たな応用展開として、デジタル家電との関わりについても触れ、研究会全体を概観した。

2. 磁気ヘッド
2-1 Advanced Heads    Marcos Lederman(Read-Rite)
 磁気ヘッドにおける最新技術の紹介と今後の技術課題の解説を行った。記録ヘッド、再生ヘッドともに、今後の狭トラック対応の難しさを強調した。また、新開発の垂直磁気記録用単磁極ヘッドの構造と書き込み性能の評価結果を紹介した。

2-2 磁気ヘッドの現状と将来    松崎幹男(TDK)
 磁気ヘッドにおける現在と将来の技術課題について解説した。再生ヘッドの高面記録密度対応技術として、LOL(lead overlaid)構造と磁気トンネル接合方式のGMRヘッドを紹介した。一方、記録ヘッドに関して、高密度記録対応の問題点を示し、さらに、将来技術として、垂直磁気記録用の単磁極ヘッドを紹介した。

3. 記録媒体
3-1 長手記録媒体 −反強磁性結合媒体の熱安定性−    仲谷栄伸(電通大)
 計算機シミュレーションより求められた反強磁性結合(AFC)媒体の記録再生特性と熱安定性についての報告を行った。Brtが30 Gμmである従来型の単層媒体よりも再生信号と媒体S/N が上回るために必要な記録層の厚さおよび層間の交換定数の関係を示した。また、AFC媒体の熱安定性は層間の交換定数で決まることを示し、例えば、J=1 erg/cm2の場合、再生信号の減衰時間は従来型の単層媒体よりも体積が3倍大きくなった場合と同程度まで長くなることを示した。

3-2 垂直記録媒体    細江譲(日立)
 垂直二層媒体の実用化に向けた最近の検討結果と課題について解説した。垂直二層媒体では、軟磁性下地層及び記録層それぞれに起因するノイズの低減と熱安定性の両立が必要である。軟磁性下地層からのノイズの低減方法として、反強磁性層による磁区制御が有効であることを示し、さらに、記録層の低ノイズ化と熱安定性の両立を目指すアプローチとして、CoCr系合金膜と高磁気異方性膜のハイブリッド化を紹介した。

4. ドライブ
4-1 モバイル用およびデスクトップ用HDD     寺島弘(日本IBM)
 モバイル向けおよびデスクトップ向けHDDの開発の歴史を振り返った後、最新の製品内容を紹介した。さらに、今後の展望として、製品のさらなる差別化と新たなマーケットの開拓の必要性を強調し、そのための性能競争や製品細分化の方向性について述べた。

4-2 サーバ用HDD    金子悟(富士通)
 サーバシステムの進展とサーバ向けHDDへの要件について解説した。サーバとストレージによるシステムの主な構成とパフォーマンスについて説明した後、サーバ向けHDDへの要件をまとめた。特に、近年の大容量化に対して、アクセス時間等のパフォーマンス向上の度合いが低いことが問題であることを強調した。

5. 新しい応用展開
5-1 ホームAVアプリケーションにおけるHDD技術    三橋孝通(SONY)
 HDDを利用した最新の家庭用録画装置を紹介した。HDD録画装置の主な仕様を説明した後、放送環境とHDD録画装置の位置づけについて解説した。また、放送の多チャンネル化、メディアの多様化に対応したネットワーク機能についても紹介した。

5-2 ネットワークにおけるHDD    青木直孝(日本IBM)
 ネットワーク・コンピューティングの中核技術であるサーバとストレージの枠組みが、インターネットの出現とその普及、並びに関連要素技術の進歩とあいまって大きくかわりつつある。SAN/NAS/iSCSIといった技術は、従来サーバの補助的な役割だったストレージを一挙にネットワークと言う表舞台に立たせる効果をもたらしている。こうした状況がストレージの基本コンポーネントであるHDDに及ぼす影響について解説した。

(富士通研 竹下弘人)