今年の目玉としてインターメタリックスの佐川氏にNdFeB磁石の開発の歴史を講話い ただきました。1978年の日本金属学会主催のシンポジウムに参加されたときに、ヒン トを得て帰られてからすぐにアーク炉でインゴットを作成し磁力計での測定をくり返 し、NdFeBを発見されたとのことです。その後研究の打切りがありましたが、深夜や休 日に研究を継続され、1983年10月に金属学会、11月にMMMでNdFeB焼結磁石を発表し、 世界的な反響を呼びました。「Coがなければ強力磁石ができない」などの先端の研究 者の思い込みの打破や何があっても信念をもち研究を継続することの重要性などの話 は非常に参考になりました。佐川氏自身も述べておられましたが、既成概念や常識に 捕われない若手研究者の柔軟な発想は、独創的な業績に極めて重要で、そのような芽 をつぶさないように配慮できる心の余裕も必要であると共感しました。
講義の終わりに集めたアンケートの結果からは、スクールの運営に関してはおおむ ね満足していただいたようですが、質疑応答の時間および講義の間の休憩時間などの 設定やタイムスケジュールの厳守など、今後改良すべき点のご指摘をいただきました 。今後の企画に役立てて行きたいと思います。講師の方々にもノーネクタイで参加し ていただいて、もっとうちとけた雰囲気にするのも良いのではと思います。会員の皆 様にも、今後のサマースクールについてのご意見やご要望をお寄せいただき、ますま す充実したスクールにしていきたいと思いますので、初心者のみならずベテランの方 、あるいは、日程等の都合でなかなか参加の機会が得られなかった方など、今後是非 、ご参加ください。
(大分大 戸高孝)
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