磁気に関する研究や開発に携わって、初めてその難解さや底知れなさに気がつかれた方も多いのではないでしょうか。大学の電磁気学でも苦労したというのに、ミクロでもマクロでも一筋縄ではいかない磁気の世界。これが磁性体の内部の現象となるとさらに複雑さを増します。電磁気学の教科書からはるかに飛躍した内容の磁気の専門書に戸惑った経験はないでしょうか?
磁気分野は華々しくはなく多少古めかしく感じる分野ではありますが、動力源として情報記録媒体としてさまざまな角度から現代社会を支える重要な役割を担っています。高性能永久磁石材料や垂直磁気記録など日本の磁気技術が貢献しており、今後ますます発展が期待される分野でもあります。磁気を学び、その現象や理論に理解を深めることは有意義なことだと思いませんか?
日本磁気学会では、磁気分野の初学者、若手の方や磁気に初めて携わる方を対象に、磁気の基礎を講義する「日本磁気学会初等磁気工学講座」を開催致します。講義と演習を通じて、磁性体の内部で生じる現象とそれに関する物理的な理論に対する理解を深めることを目的とします。
なお、本年度は東日本大震災の影響を考慮して、例年と異なり開催日が学術講演会の前日となっております。学術講演会に参加するにあたって磁気の基本事項の整理・復習にご活用いただくのもよいかと思います。奮ってご参加ください。また、例年、初等磁気工学講座に引き続き開催されております「日本磁気学会サマースクール」の開催は中止致します。
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