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第3回 初等磁気工学講座報告
  今年度で3回目を迎える初等磁気工学講座が7月27日(月)に東京都千代田区の商工会 館で開催された。本講座は磁気工学の初歩を講義と演習を通して若手研究者などに理解してもらうことを目的とするものである。

本年度は、募集人数を上回る45名の参加があった。参加者の約半分が、大学院生およ び学部生であり、また、ほとんどの方は、磁性関係に携わってから数年以内の方々であった。

講師は第1、2回目に引き続き東北大金研の高梨先生にお願いした。演習では、高梨先 生とオーガナイザーで指導にあたった。

講義の内容としては、電磁気学の基本として、磁界や磁化の基本から、SI単位系とCG S単位系の違いと換算、磁気異方性および磁歪、磁気計測法の基礎に至るまで、磁気工学に携わる者として最低限必要と思われる内容が網羅されている。アンケートでは、大学等では、あまり磁気工学に関する講義がないため、高梨先生が体系的にまとめておられる本講座およびテキストの評判が高った。

演習を行う前にVSM、磁気トルク計や薄膜磁歪測定装置による実際の測定風景を撮影 したビデオを紹介した。実際の試料の測定データを使用して、飽和磁化、保磁力、磁気異方性エネルギー等を求める演習を行った。結晶磁気異方性エネルギーについての演習では、結晶構造に関する質問が多く、演習に際しては、結晶構造等、様々な知見に配慮する必要性を感じた。また、演習の時間に関しては、演習と解答の時間の配分など今後の検討が必要となる。

ビデオに関しては、受講者に理解しやすいように作成しており、測定の手順の理解に 役立つと思われる。しかしながら、アンケートの結果を考慮すると、ビデオの内容の改善、または、実際の装置での実習等、改善の検討が必要と考えられる。次回以降の検討課題である。

最後に、初等磁気工学講座は易しすぎるが、サマースクールの内容はむずかしいと感 じ、サマースクールに参加しない受講者も見受けられる。初等磁気工学講座とサマースクール、特に「磁性材料の基礎」との連携をさらに密にする必要があると感じ、次回以降の課題としたい。
(東北大 荘司弘樹)