第24回光スピニクス専門研究会報告
日 時: | 平成11年2月23日(火)14時から17時 |
場 所: | 日本大学理工学部駿河台校舎1号館2階第2会議室 |
参加者: | 13名 |
1) | 「フォトリフラクティブ結晶を用いたホログラムメモリ」 | NTT 今井欽之 |
2) | 「光磁気ディスクの最前線:MORIS99報告」 | 日本大学 中川活二 |
今回は,次世代光メモリに関する最近の話題を取り上げて研究会が行われた.
今井は,ホログラムメモリの最近の研究動向を自身の行なっているフォトリフラクティブ結晶を用いたメモリを中心として報告した.初めにホログラムメモリの基本原理や高記録密度及び高速転送といった利点について紹介した.次に,代表的材料としてフォトリフラクティブ結晶を取り上げ,オーバーライト,体積多重記録,室温動作が可能といった利点,及び低記録感度,再生破壊といった現時点での欠点とその改善方法を示した.最後にシステムとしてのホログラムメモリの現状について紹介し,空間変調器とCCDの高速化や多重方式の変更といった材料以外の周辺技術にも改善が必要であることを述べた.
中川は,1月10−13日にモントレーで開かれたMORIS'99で紹介された最新の話題について報告した.まず、会議の参加者が当初予想を大幅に上回る158名に達したことを述べ、ついで今回の中心議題のひとつであったSIL,SIM,高NAレンズを用いた光磁気システムが紹介された。この中で、SIL等を光磁気記録に用いる際のキーポイントに関するM.MansuripurのTutorial講演、高NAレンズにより7Gbit/inch2が実現できることを示したソニーの研究発表などが紹介された。磁気超解像及びAS-MO関連では各メーカーより詳細な報告があり,現行のシステムで磁気の技術を用いてかなりの記録密度向上ができることを紹介した.磁区拡大再生関連では,各種研究機関によりMAMMOSやDWDDに関する報告があったこと、特に転写→磁区拡大のメカニズムがシミュレーションにより説明されインパクトを与えたことなどを紹介した.最後に,氏は会議全体の感想として,光記録では新オプティクス・新システムの導入で記録密度の向上を達成してきており,一方,磁気記録では従来方式で物理的限界を明らかにしつつ高密度化の新しい道を探してきたと述べ,日立やシャープなどで光磁気記録と磁気記録の融合化の研究も進みつつあり、今回の会議が新しい磁気記録へのステップになるのではないかと締めくくった。
参加者が少人数であったにもかかわらず多くの質問が飛び交い,活発な質疑応答が交わされた研究会であった。
(東京農工大 佐藤勝昭,NTT 杉本直登)