第21回 光スピニクス専門研究会報告
日 時: | 10月15日(木)13:30-17:00 |
場 所: | 東工大百年記念館フェライト会議室 |
参加者: | 30名 |
講演題目:
1)「フォトニクスデバイス技術の最近の展開」 | 農工大 覧具博義 |
2)半導体フォトニック結晶」 | 横浜国大 馬場俊彦 |
3)「フォトニック結晶における巨大磁気光学効果」 | 東北大 井上光輝 |
標記専門研究会は、最近話題のフォトニックバンドギャップ(PBG)材料の磁気
光学への展開をテーマに開催された。はじめに、農工大の覧具氏は、超高速大
容量光ファイバー通信システムの最先端の状況を紹介し、このようなシステム
における各種フォトニック(=光エレクトロニクス)コンポーネントの開発課
題を挙げ、その中におけるPBG材料の位置づけを述べた。次に、横浜国大の馬
場氏は、人工的に形成された模倣分子構造や模倣結晶を作ると、分子結晶にお
ける電子のバンド構造と類似のバンド構造が形成され光に対するストップバン
ドが生じるがこれをPGB結晶ということ、周期構造の乱れの導入によって「ド
ナー」が形成されることを述べ、さらに、周期構造を1次元、2次元、3次元
と増やすに従って伝搬禁止方向の異方性に変化が生じること、光学遷移の統計
を人工的に制御できることなどを紹介するとともに半導体の微細加工技術を用
いたフォトニック結晶の現状を示した。とくに今後の課題として光の位相の制
御の重要性を述べた。東北大の井上氏は1次元のPGB結晶において、磁性体を
挿入して周期構造の乱れを持ち込むことによって光の局在を起こし磁気光学効
果を非常に大きく増強できることを示し、従来から行われている多重干渉によ
る磁気光学効果との関連などに言及するとともに、非線形磁気光学効果の増強
の可能性なども紹介した。最後に、磁性体を用いたPGB結晶のバンド計算にも
とづきVoigt効果で大きな磁気光学効果が予言されていることを紹介した。
磁性PGB結晶の研究はまだ始まったばかりであり、今後新たなパラダイムを
拓く大きな可能性を秘めていることが認識された。
(佐藤勝昭 農工大)