日本応用磁気学会光スピニクス特別専門研究会(第18回光スピニクス専門研究会)
開催期日 | 1998年2月24日(火) 13:30〜17:00 |
開催場所 | 銀座リビングプラザ |
参加者 | 20名 |
最近のレーザ技術を利用した新しい磁性研究の現状と可能性をテーマとした、以下3件の講演がなされた。
1.「スピンSPMの最近の展開」 | 武笠幸一(北大) |
2.「超高速レーザパルス光を用いた希薄磁性半導体中のスピンの制御」 | 秋本良一(電総研) |
3.「SIL(Solid Immersion Lens)近接場光学法による高密度光記録」 | 鈴木孝雄(豊田工大) |
武笠先生(北大)は原子分解能を有するスピン偏極STMを目指した研究の現状と将来性について紹介された。GaAs探針に円偏光レーザ光を照射することによりスピン偏極探針を実現している。現状では探針の走査により得られるスピン偏極像の解釈にはまだ多くの問題があるとのことであったが、スピン偏極STMの実現に向けて良く考えられた野心的な試みがなされていることが印象的であった。
秋本氏(電総研)はフェムト秒円偏光レーザパルスを用いて(Cd,Mn)Te希薄磁性半導体中の電子、ホールそしてMnイオンのスピン緩和時間の評価ができることを示した後、複数の超短光パルス列の偏光状態やパルス間隔を調整することによりMnスピンのラーモア歳差運動の振幅の自在な制御が可能であることを報告した。将来、高速光スイッチなどに利用できる可能性もある。
鈴木先生(豊田工大)は次世代の高密度磁気記録として最近話題になっているSILを用いた光磁気記録技術を紹介された。SILの基礎から始まり焦点深度の問題、そして現在シリコンバレーで繰り広げられている激烈な競争について具合的でホットな話題を提供された。転送レートの向上などまだ課題は多いものの、挑戦的な技術として将来に期待したい。
いずれも講演も限られた時間内では話しきれないほどの多くの内容を持ったものであった。多くの質疑と議論が活発になされた。
(電総研 安藤功兒)