日 時: | 平成7年7月 18日(火)14:00-16:30 |
場 所: | 東京工業大学,南3号館2F会議室 |
参加者: | 25名 |
今回は,「マイクロフププリケーションと物性」と題して以下 の2つの講演をお願いした.
1) | 配列格子の諸物性 | |
三洋電機:前田篤志 | ||
2) | 金属・絶縁体へテロ接合量子効果デバイス | |
東工大:浅田雅洋,渡辺正格 |
前田氏(三洋電機)の発表は,パーマロイの単届膜や多層膜を 細線状あるいはドット状に微細加工し,その物性を磁化測定・
磁気抵抗測定や磁気共鳴等の方法で研究したものであった.1 マイクロメーター前後の微細加工がきれいにできており,
例え ばマイクロ波の吸収には, 連続膜にはない沢山の多重共鳴線が 規則的に現れていた.これらの,吸収線は部分的にしか説明で
きないことで,このような,比較的分かりやすい挙動にも,ま だまだ研究すべきことが隠されているようで興味を引かれた.
巨大磁気抵抗の膜を細線に加工した場合,結合型で特性の向上 がみられるとのことだった.しかし.スピンバルブ型と誘導
フェリ型では特性の向上がみられない.この理由も理解できな かった.世界的にみても,
微細加工した磁性体の研究は極少数 のグループで始められたばかりで,今後のより多くのグループ
が参入し発展させていく価値のあるテーマのように思われた.
浅田氏(東工大)の講演は・絶縁体であるCaF2(フッ化カル シウム)と金届になるCoSi2(遷移金属シリサイド)を接合し,
共鳴トンネルダイオードやトランジスタを実現したという大変 興味を引かれる内容だった.金届薄膜中の星子閉じ込め準位や
共鳴準位が直接的に電流電圧特性に現れている結果は見事だっ た.このような結果が,シリサイドのニ段階成長(低温でアモ
ルファスシリコンを堆積した後にCoを黍着・反応させること によってCoSi2の凝集をさげる)とフッ化カルシウムのイオン
ビーム燕着(イオン化し電界で加速することによって成長温度 を下げ下地のCoSi2の凝集を避ける)によって初めて得られた
という点が印象的だった.トランジスタ動作の原理は(特にど のようにゲート電流が決まるの力り理解できなかったが,今後
の超高速デバイスのーつの可能性を示して大変におもしろかっ た.さらに,磁性体をゲートやバリヤに導入できないものだろ
うか.
以上,密度の濃い研究会だった. 鈴木菱茂(融合研),北本仁孝(東工大)