17.02
- 分野:
- パワーマグネティックス
- タイトル:
- 単相励磁入力による三相回転磁界を有するモータの開発に成功
- 概要:
- 八戸工業大学、坂本禎智研究室では、励磁側1系統とパラメトリック発振回路2系統を併せて3系統(三相)の電圧の振幅がほぼ等しく、2系統のパラメトリック発振回路側の電圧の位相差が励磁側に対してほぼ+120度、-120度の位相差を有する三相電圧を得ることができ、単相励磁入力による三相回転磁界を有するモータの開発に成功した。
- 本文:
- 三相モータは、空隙起磁力の空間高調波成分が小さいことから単相モータに比べて効率が良く、省エネルギーに大きく役立つことが知られているが、家庭などの三相配線されていない場所では使うことが出来ない。また三相インバータを用いる方法があるが、システム全体で高価格となり、破損したときのメンテナンス性も悪い。このような状況から、単相電源で三相回転磁界を有するモータが実現できれば、実用上極めて有用である。
筆者等は既に、単相電源で三相回転磁界を有するパラメトリックモータの実現が可能であることを明らかにしており、パラメトリック発振現象を用いて、三相電圧を安定に得るためには、固定子内の磁束分布を不平衡とすることが有効であることを明らかにし、そのための固定子形状や材質の設定条件等について検討を行っていた。いまここに、3系統(三相)の電圧の振幅がほぼ等しく、2系統のパラメトリック発振回路側の電圧の位相差が励磁側に対してほぼ+120度、-120度の位相差を有する三相電圧を得ることができ、負荷を加えた状態でも安定に動作する条件を見出すことができた。出力、効率の大きさにはまだ問題があるが、本モータの実現は、三相配線が施されていない場所での高効率モータの活用に結びつき、その省エネ効果は大きいと考えている。
(八戸工業大学 坂本禎智)