61.03
- 分野:
- 磁気応用
- タイトル:
- 磁性薄膜インダクタのワンチップ電源への応用
- 出典:
- Intermag 2009 (DA-01)
- 概要:
- Tyndall国立研究所(アイルランド)のMeereらは、近い将来ワンチップ電源が必要であることを説明し、最適化プログラムCADESに基づいて設計した薄膜インダクタの特性を議論した。その結果、面積1.3mm2の場合に110nH/mm2を得た。低損失化とのトレードオフが依然として課題である。
- 本文:
- グリーンエレクトロニクス技術への関心が高まる中、MPU駆動を目的とした電力給電システムにも低電圧大電流出力をMPUと同等な超小型で実現することが必要となっている。その実現に動作周波数が20~30MHzでインダクタンスが100~300nHのマイクロインダクタが不可欠である。著者らはその実現のために設計の最適化プログラム(CADES, Component Architecture for Design of Engineering Systems, Laboratoired’Electrotechnique, Grenoble, France)を導入し、面積、導体厚、導体間隔、巻線の回数、磁性材料の種類とその抵抗率などを予め指定し、それらの条件を同時に満足するようなインダクタを試作した。インダクタンスの大きいインダクタを如何に小さな抵抗値で実現できるかがポイントである。面積1.3mm2の場合に110nH/mm2を得た。その場合の直流抵抗は0.8Ωである。まだ交流抵抗を含めた最適化設計には至っていない。この分野では、昨秋このTyndall国立研究所で世界初のワンチップ電源に関する国際ワークショップ(IEEE PEL Society協賛)が開かれたところであり、SoCやSiPなどの実装技術の動向を睨みつつ、実現への道が拓けつつある。いつの間にか欧米主導となってしまったのが悔しい。日本でも組織的な取り組みが不可欠と思われる。
(東北大学 山口正洋)